Go To キャンペーンはどこへいく

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官僚や政治家という輩はどうしてこうも頭が悪いのだろう。新型コロナとの共存を打ち出すなら、今までと同じやり方が通用しないのは明らかだ。今回の感染拡大に限らずここ数十年の間には世界的な脅威になりそうな感染症がいくつも流行った。幸いにもそれらは今の日本では大きな脅威になっておらず収束したかに思われているが、20年ほど前に流行したSARSはまだワクチンどころか治療薬もできていない。

そんなウイルスや細菌が一気に世界中に広がればまた今回のような事態に陥ることは目に見えている。だから政府も「withコロナ」などと言って「新しい生活様式」に変えていく必要性を説いている。そこに来て「Go To キャンペーン」などと言って国内旅行に補助金を出す施策を始めた。いやこのキャンペーン自体がどうのというわけではない。やり方があまりにも稚拙なのだ。

アクセルとブレーキを同時に踏むことについて以前にここにも書いた。アクセルを踏みながらブレーキを踏むことは必ずしも愚かなことではないと書いた。それは今でもそう思っている。
しかし「あちこちを旅行しながら家にいなさい」というのはどう考えても矛盾している。出かければ家は留守になるのだ。政府は感染予防の対策として「3つの密を避けろ」としつこいくらいに言っている。でもGo To キャンペーンを始めるにあたってはそのことにはまったく触れていない。

3つの密とは密集、密閉、密接だという。この中には「出かけるな」とはどこにも書いていない。この3つを避けられるなら出かけることは大きな問題ではない。要するに人と人が密着して濃厚接触するのが良くないのだと感染症の医療関係者も政府の分科会の委員も言っている。つまり濃厚接触しないように旅行したり飲食店に行ける方法を考えればいいわけだ。

なのにGo To キャンペーンはわざわざ予定を前倒しして7月の4連休を前に開始された。夏休みのそれも4連休など黙っていても人は出かける。STAY HOMEだと言われても出かける。黙っていても観光客は増える。観光客が増えれば観光地では密集して密着する。それをわざわざ増長しようとしている。

ところが観光地や飲食店には必ず閑散期というものがある。ピークを外せば”行列のできる人気店”だって並ばずにゆっくりと食事ができる。こんなことは誰でも知っている。だから観光業で働く人は閑散期に休暇を取って(繁忙期には取れないんだけれど)ガラガラの観光地を楽しんでいる。混雑する時期に出かけなければならない時にはできるだけ混まない不人気の観光地をわざわざ探す。

もともと夏休みや連休なら黙っていてもお客は来る。それを”悪”だと言わんばかりの施策でお客に来させなくしたのは政府のコロナ対策の告知が悪いのだ。旅行が安くなるなら会社を休んだって平日に旅行する人は増える。繁忙期と閑散期を少しでも平準化するのが行政が目指すべきafterコロナの在り方だと思う。

それなのにどうして閑散期や平日を対象にしないのか。わざわざ混雑する時期を選ばずに人気のない空いた時期を対象にすれば、観光地もお客が平準化されて余計な経費をかけずに売上げを伸ばせるし、満室で予約を断わらずに施設だって有効活用できる。サービス業の売上げが頭打ちになってしまうのは短期間にお客が集中するからだ。お盆やお正月、GWに集中している休みを分散させることがまさにwithコロナに、いやこれからの日本に必要なことではないだろうか。それがまさに「新しい生活様式」ではないかと思っている。

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