趣味どきっ!

教育テレビ(今はEテレって言うのかな)で年配者向けに”趣味を作りませんか?”的な「趣味どきっ!」という番組がある。ふだんは興味もないので観ることもないが、先日は「スマホを始めよう」というようなテーマだったのでちょっと見てみた。まぁご想像の通り、スマホの基本設定の仕方やアプリのインストール、メールのやり方などから始まったらしいのだが、今回はシリーズの4~5回目だったらしく”地図アプリの楽しみ方”や”写真を撮ろう”がテーマだった。

今の若者から中年世代にかけてなら普通に使っている携帯電話やスマホでも、高齢者となると話は随分と変わってくるらしい。そりゃカメラといえばかつてはフィルムカメラからデジタルカメラへと変遷はしてきたものの「写メ」と呼ばれたカメラ付き携帯電話からはまだ20年も経っていない。最初はケータイで撮った写真をメールで送るくらいしか使い道はなかったが、去年の流行語大賞は「インスタ映え」である。最近ではお洒落な写真を撮ってインスタグラムなどのSNSに投稿して「いいね!」を貰わなければ意味がない、とは言わないがモチベーションは高まらない。ところがその時代を既に「高齢者」として興味を持たずにスルーしてきた人もいる。

昔から「カメラが趣味です」という人はたくさんいた。カメラそのものを収集しているコレクターもいたがほとんどは「写真撮影が趣味」という人だ。写真撮影が好きな人は自分が撮った写真を誰かに褒めてもらいたいものだ。まず最初に褒めてもらいたいのは”自分自身”だ。片っ端から撮った写真の中からお気に入りを探し出して「うーん、いいねぇ」と悦に入る。そして自分がいいと思った写真は必ず誰かに見て欲しくなる。誰かに見せて「すごいね~」「綺麗だね~」と言ってもらいたくなるのだ。僕もアマチュアカメラマンの端くれで数万枚の水中写真を撮ってきたからその辺の心理は非常によく分かる。特に山のようなガラクタ写真の中から「ちょっとはマシ」な写真などを見つけ出すと、自分が大写真家になって決定的瞬間を捉えた芸術作品を撮ったかのように自慢したくなる。昔だったらどこかの写真展に応募して入選するしかなかったが今ではそんな面倒なことはいらない。誰に審査されるでもなく落選することもなく自分の「作品」を発表できるのだ。まったくもっていい時代になったものである。

ところで「スマホ」だ。
スマホは”趣味”なのか?
ちょっと聞くと「スマホが趣味ってどういうこと?」と違和感を感じる。電車の中でスマホ画面に釘付けになっている人も「スマホが趣味」と思っている人はあまりいないと思う。スマホは道具であってそれ自体を趣味にするものではない。言い換えれば「趣味は冷蔵庫です」とか「趣味は電子レンジです」と言っているようなものだ。しかし世代が変われば価値観も変わる。何らかの目的があって「スマホを使う」のではなくスマホ自体を楽しむのだ。
そういえば僕にもそんな時期はあった。スマホが出始めて機能も使い方もよくわからなかった頃、毎日スマホを弄って隠された機能を見つけ出しては悦に入っていた時期が確かにあった。あの頃はそれが楽しかった。間違いなく「スマホが趣味」だった。ところがちょっとするとすぐに使い方を覚えてしまい「ただの道具」になってしまった。もはやスマホは趣味ではなくなった。

何か新しいことを初めてもすぐに使い方を覚えて上達してしまうものは趣味にはならない。いくら努力しても練習してもなかなか上達しないから趣味になるのだ。趣味は「ヘタの横好き」でいい。うまくなったらプロになってしまう。だから僕のギターはいつまで経っても趣味でいられるのだ。