以前にも書きましたが2000年代の初めのころ、フジサンケイグループの買収に絡んで当時の村上ファンドの村上 世彰氏が起こしたニッポン放送株のインサイダー取引の際にマスコミの前で発言した言葉です。ボクのような庶民からしてみれば一般論としてお金持ちに対しては妬みもありますから、”金儲けするヤツは悪いヤツ”といった思い込みがあることは間違いありません。とりわけ一代で莫大な財を築いた人などを見るにつけ、「なんか悪いことしてるに違いない」と思いがちです。そのとき折からの事件で逮捕された”悪いヤツの代表”みたいな村上 世彰氏が「(みんな僕のこと責めるけど)お金儲けって悪いことですか?」と開き直ったように言い放ったわけです。

お金持ちに限らず大抵の人は「お金持ちになれればいいな」と感じているでしょうし、できることなら「ラクして儲けられたら最高!」と思っている人も多いと思います。だからほとんどの人はお金儲けが好きですし少なくとも生活のためには多かれ少なかれ”お金儲け”をしています。けれど自分がお金を儲けることは大好きでも、他人が儲けることについては快く思わないのはフェアではないように思うわけです。

お金や資産というものは一般に、”誰かが儲ければ誰かが財産を減らす”ことになります。失う財産の代わりに自己の満足や快適な生活などを手に入れて満足するわけです。それがお互いにとっての取引の価値になるわけです。だから自分にとって満足できない結果だけが残れば取引の相手に対して、「この詐欺野郎!」などと罵ったりします。でも真っ当な取引(スーパーで食料品を買うなど)であればスーパーが儲けを出すことは決して悪いことではありませんし当然のことです。

話は変わりますが最近、ロシアのウクライナ侵攻に関連して西側諸国がロシアに対して厳しい経済制裁をしています。ロシア企業との取引停止や企業や個人の資産凍結などで金融や物流も滞り、原油や天然ガス、穀物など多くの物が急激な値上がりをしています。必要な物がなくなれば値段が上がるのは経済学でもよく知られたことで、需要が供給を上回れば取引が安定するまで価格は上がり続けることになっています。どうしても必要な物なら高いお金を払ってでも手に入れようと思うからです。

ところが経済や物流の取引が複雑になるに従って”投機”という行動が盛んになりました。つまり「安い時に買って値上がったらそれを売って利鞘を稼ごう」とする人たちです。「ロシアは原油や天然ガス、小麦をたくさん作ってるからこれからは間違いなく値上がりする」と思って”今すぐ必要なわけでもないのに”大量に買い占める動きです。物が大量に売れれば在庫が少なくなって需要が供給を大きく上回り物の値段は上がります。卑近な例ですが一昨年の春先にもコロナ騒ぎで薬局の店頭からマスクが一気になくなりました。その結果、ネットでは「1枚500円」などというバカげた値段で販売されていたものです。ところが今となってはマスクの供給も安定して以前のように1箱50枚入りで300円くらいで売られています。

物がなくなれば値段が上がるのはある意味仕方のないことですが、悪いのはその機に乗じて悪どく金儲けをしようとするヤカラが必ず出現することです。ボクは昨年のマスクパニックの時も東日本大震災によるトイレットペーパーパニックの時も一切行列に並ぶ事はしませんでした。パニックは一時的なものだとわかっていましたし、マスクもトイレットペーパーも節約すればちょっとの間なら持ち堪えられると思ったからです。案の定、しばらくして騒ぎは収まりました。

その時は誰もが「自分は悪くない」と思って買い占めに走っていたのでしょうが、そんな”悪くない”自分が真っ先に大騒ぎの炎に油を注いでいることに気づいていなかったのです。ロシアの問題だけではありませんが最近ではガソリンや食用油、小麦粉など多くの物が急激に値上がりをしています。燃料が高くなれば物流のコストも上がりますし物を作る経費も上がるので当然のことなのですが許せないのは、「これ、絶対高くなるから一儲けしようぜ!」という根性です。

困っているのはお互い様です。みんなで助け合って危機を乗り越えなければいけない時に「自分さえ良ければいい」という考えでお金儲けを企むのは間違いなく「悪いお金儲け」です。ウクライナの人たちのように日本人もみんなで助け合って生きていくことはできない物なのでしょうか?