東北の津波の時もそうだったが、大きな災害が起きると必ず、「そんなところに住まなければいいのに…」と言う人が出てくる。もちろん災害が起こらないところがあれば一番いいのだが、少なくとも日本に住んでいる限り自然災害に遭わないという保証のあるところはない。山があれば土砂災害、海があれば津波や高潮、平地なら洪水や浸水・竜巻・ゲリラ豪雨、そして地震や台風はどこに住んでいても避けられない。

もちろんそこに住んでいた人は昔からそこに住んでいたので、「今までこんなことが起きたことはなかった」と言うのだが、津波は別としても最近では台風や大雨による風水害の被害が年々大規模になっているような気がする。もちろん20年ほど前までは今のようにインターネットやSNSが普及していなかったから、寄せられる情報も少なかったので目に触れなかっただけかもしれないが、雨量や風速、気温、気圧のデータだけを見ても以前よりもデータは激甚になっている。

これが地球規模の気候変動によるものだとしたらそこに住んでいる人たちがどんなに努力しても自然災害から逃げることはできない。そして一部の都心に住んでいる人以外は自分で好き好んでそこに住んでいるわけではない。「住めば都」という言葉もあるように、住んでいるうちに慣れて土地に愛着が湧いてくることもあるだろうが、それでも多くの人は仕事や学校、家族などの都合でそこに住み続けている。

ある特定の災害だけを考慮すればその災害に襲われる確率の低いところはあるだろう。しかし一つの災害から逃れようとすれば他のリスクが増したり利便性が失われたりする。それらを色々と考えて自分にとって一番バランスが取れた場所がおそらく今住んでいるところなのだ。

何か一つの不都合を避けるためだけにその土地を離れれば自分の中の生活や精神のバランスが崩れていく。果たしていつくるかわからないたった一つの自然災害のリスクと天秤にかけたときに、自分にとっての幸せを考えた結果でそこに暮らし続けている。赤の他人がたまたま起きた一つの災害だけを少しばかり垣間みたところで土足で他人の生活に踏み込むようなことを口にするべきではないと思うのだ。