未来はいつになったらやって来るのか

最近になって「10年後にあなたの仕事は残っているのか」というような不安を煽る広告や記事をよく見かけるようになった。今の仕事はロボットやAIに取って代わられて多くの人が仕事を失い生活に困窮するのだという。いやはやもっともらしい御説である。でも本当に10年後には仕事がなくなるのだろうか?もしそうだとしたら僕は万々歳である。だって仕事をしなくていいのだから。いつかそんな日が来ることをダメな僕はずーっと待ちわびていた。

子供の頃描いた未来予想図を覚えているだろうか。21世紀の街には超高層マンションが立ち並び、空に張り巡らされた透明チューブの中を自動運転車が走り回り、すべての仕事や家事はロボットがやってくれる。人間は窓からそんな風景を眺めて幸せな気持ちになるのだ。誰も仕事なんてしなくてもいい。壁のボタンを押せば食べたい料理がなんでも出て来るし水道の蛇口からはジュースも出てくる。街の電気は原子力発電所から送られてくるが、発電所で電気を作っているのもロボットだ。
僕らはそんな未来を思い描きながら育った。作家の星新一さんだってそんな未来を描いていた。なのになぜ今になって「仕事がなくなる」といって不安になったりするのだろう。

テクノロジーは人類を幸せにするのだろうか?産業革命以来、世界中で産業の機械化が爆発的に進みモータリゼーションは大きな変革を遂げた。20世紀にはコンピュータが発明され21世紀になってインターネットが一般的なものになった。かつての「清書屋」や「代書屋」なんて仕事もなくなり工場はオートメーションが進んだ。そんな中で仕事の中身も大きく変わり、ある仕事は煙のようになくなりそれに代わって新しい仕事も生まれた。肉体労働や単純労働は減りデスクワークが急激に増えた。しかし今までのロボットは事務仕事を大きく低減してくれはしたが完全になくすことはできなかった。
そこに出てきたのがAI(人工知能)である。ボクはAIの仕組みについて良くは知らない。「自分で考えるロボット」的なイメージくらいしかない。今までのコンピュータでもデータベースなどで高速に検索を行うことはできた。でもそれはプログラムに書かれた仕事を一つ一つこなすだけで、それ以外のことをすることはなかった。
AIには「今度のヤツは違うぞ!」という雰囲気が強烈に漂っている。恐らくは、もうちょっと開発が進めば弁護士や裁判官、政治家、経営者などの仕事もAIに取って代わられるだろう。政治家の抵抗勢力は猛烈に反発して潰そうとするだろうが勢いは止められない。製薬会社の研究も早まり、医者は手術をしなくて良くなるかもしれない。今だって作曲や作詞、小説を書き絵を描くコンピュータはあるのだから芸術家の仕事もなくなるかもしれない。

でもね、でもですよ。それってイケナイことなんですか?
やっと働かなくてもいい時代が来るんですよ!

脳天気に考えれば、機械が自分でエネルギーを作り出し、そのエネルギーであらゆるものを生産し、人間のように間違えることはなく、機械が壊れれば他の機械が修理する。地球上でエネルギーが作り出せなくなるまで安泰な世の中が続くように思う。土地や食べ物のために戦争することもなくなり(今の宗教戦争も元を辿れば土地や食べ物の奪い合いから始まっている)求めていた理想郷が実現する。

かどうかはわからない。
しかしヒトは、昨日より素晴らしい今日、今日より素晴らしい明日を信じて新しいテクノロジーを発明してきた。でも最近はそのことに少し疲れ始めている。幸せって何だっけ♪と歌っていたテレビCMがあったが、ヒトにとっての本当の幸せっていうものを考え直し始めている。常に何かをやり続けることこそが幸せだという人もいる。誰かの役に立つことが幸せなのだという人もいる。
しかしたとえ単純作業が全部テクノロジーに置き換わっても、人はいつのまにか何の訳にも立たなそうな作業を見つけ出してはきては何かをやり続けるのだろう。そしてそうやってずっと暮らし続けていくに違いない。

これからは、そんなどうでもいい仕事をして幸せに生きていくのもいいんじゃないの?