デマは問題外としてもニュース報道や政府が発表する広報にも必ず情報の発信者がいる。情報を発信するときは何らかの意図をもって発信される。意味もなく情報が流されることはない。それはまったく意味をなさないからだ。その情報を見た人が何もアクションを起こさず、何も考えることも感情を動かされることがなければ、そこに情報としての価値はない。
情報には必ず発信する人の意図が反映されている。それは政府・与党だろうが野党だろうが個人だろうが企業だろうが、何らかの意図をもっている。政府が発表する内容には”世論を誘導する”という意図があるかもしれないし(おそらくあるはず)、政党や政治家のそれには次の選挙を見据えた作戦が隠されている。
企業が掲載する新聞や雑誌の記事に見せかけたコラムなどは”企業広告”の一つだし、企業がお金を払って、個人に依頼し、BLOGなどを使って宣伝するケースは以前からずいぶん流行っていた。いわゆる”ブロガー”や”ユーチューバー”もその一つである。だからいくらその人がBLOGやSNSで「いいね!」と言っていても鵜呑みにしてはいけない。誇大広告を信じて騙されるようなことになりかねない。
ネットであれテレビ・ラジオなどのマスコミであれ、情報を受信する側はそのことをちゃんとわかった上で行動しないと、とんだ誤解や策略に簡単に陥ることになる。それは「メディア・リテラシー:media literacy」の一つだ。リテラシーは英語で「読み書き能力、教養」のことである。日本では「裏を読み解く能力」という意味で使われることが多い。
他にもITリテラシーなどが一般的だが、スマホやパソコンなどを使いこなせる能力などを指す。ICTなどと言われることもあるがこれもITリテラシーの一部と考えて差し支えない。今のスマホやパソコンはネットワーク技術の上に成り立っており、ICT:Information and Comunication Tecnologyとほぼ同義だからだ。
日本のメディアリテラシーについては戦後早い時期から議論されてきた。戦時中の「大本営発表」を鵜呑みにして痛い目にあった人たちが、「政府の言うことをすぐに信じてはいけない」という教訓を得たからに他ならない。最近では「見える化」などと言われているが、東日本大震災や森友事件を始め、何かというと政府や政治家が情報を隠したり嘘をついたりするので、「政府はまた隠して何か嘘をついているな」と思うことが普通になっている。
マーケティングでよく使われる、「今だけです!」と焦らせたり「このまま放っておくと大変なことになりますよ」と危機感を煽って買わせようとするやり方は有名だ。オレオレ詐欺でもそういった人間心理の弱点を突いたやり口が広まっている。これは詐欺リテラシーというよりも普段の生活の中で気をつけなければいけない「生活リテラシー」なのかもしれない。詐欺師は自分から「私は詐欺ですよ、これからあなたを騙しますからね」と言ってくるわけではないのだから。