大抵の子供は忖度ということをしない。する必要がないからだ。忖度は相手の気分を害することがないように気を遣うことだと思う。先輩が、上司が、社長が、大臣が、総理が、王様が自分の立場を危うくして気分を悪くなさらないように気を遣うことだ。でも小さな子供には相手の立場どころか自分の立場もよくわかっていなかったりするから忖度のしようがない。

「言ってはいけないこと」という概念がない。忖度しないから事実をそのまま口に出せる。そこにはウソの入り込む隙間がない。大人だったら気を使って口にしないようなことでも、子供はありのままを口にする。逆にいえば大人が口にできないことを平気で口にできるということだ。大人も「自分が口にできない」と思っているだけで、実際は子供のいう通りだと思っていることがたくさんある。

表向きには賛成できなくても、腹の底では喝采をさくんでいることだってたくさんある。もちろん子供故の考えの未熟さから間違って認識していることを大声で口にしてしまうことはある。でもそれは大人が間違いを正してあげればいいことで、決して子供が間違ったわけではない。その間違いを認めない子供もいるかもしれないが、そこにはいいにしろ悪いにしろ子供なりの考えがあってのことだと思う。頭から否定するものではない。

忖度する大人の言うことは、その人が何を隠しているのかを類推してその裏にあるものを見なければならない。隠そうとするものは立場や地位、思想、経験などによって様々だ。だがその人の置かれている立場を詳しく観察することである程度判断することはできる。しかしそんなことばかりを考えていると、自分がだんだんと疲れてやつれてくる。そんなことを考える必要のない世界があったらいいのになぁと思ってしまうのだ。