9月の3連休前に急遽前倒しで実施されたGo Toトラベルキャンペーンが全国的な感染拡大を受けて全国で一斉に一時停止することになった。これについては「遅きに失した」という声も多く聞く。しかしこのキャンペーンが部分的にせよ大打撃を受けていた旅行業会の延命に一役買ったことは間違いない。それは全国の有名観光地の人出を見れば明らかだ。

その後、感染拡大は11月に入る頃から一気に全国に広がった。政府は(菅総理は)記者会見で「キャンペーンで感染が拡大したというエビデンスはない」と答えた。しかしそれを言うなら「キャンペーンのせいで感染が拡大しなかった」というエビデンスだってない。それにその原因が何か一つの原因で起きているとは考えられない。要するになにもわかっていないのだから。

それにしてもこの判断は多くの人が指摘するように「遅きに失した」ことは否めない。年末年始が観光業の書き入れ時だとわかっていたなら、忘年会シーズンが飲食業の書き入れ時だとわかっているならもっと早い11月初旬には対応して年末年始には感染拡大を抑える方向にしておいてから短期間だけでも復活させた方が結果的によかったのではないかと思っている。

もちろんその後、年明けに感染が拡大する可能性は大きいだろう。でも最初から年末年始には医療体制が手薄になることがわかっているのならその後に感染の山を作った方がよかったのではないだろうか。手を打つにはタイミングが大切だ。そのタイミングを考えずに「エビデンスが…」と言い続けた総理の判断が非難されるのは仕方がないし支持率が急落するのも当然だ。エビデンスがないのは他のことでも同じだ。やらないための理由にはならない。間違った判断が旅行や飲食業界をさらに追い詰める結果になってしまった。

今後、一気に感染が収束することは考えにくい。これから何度もこのようなピークが訪れては下火になるというようなことが繰り返されるのだろう。そんな時に経済の回復と感染拡大をうまくコントロールしていくにはグズグズと考えている余裕はない。いや考えてもいない。ここでも業界への忖度だ。しかし愚かな忖度をしたばかりに業界に大きなダメージを与えてしまっている。

タイミングと素早く時間の余裕を持たせた判断こそが重要なのにいつも直前になって方針を大転換する。直前になっての大きな変更はそれまでの見通しや段取りを大きく狂わせて傷口を広げてしまう。

首相も政府も世の中の仕組みがなにもわかっていない。国務大臣すら右往左往している。口で言うことはすぐに変えられるが動いている世の中を方向転換させるには莫大なお金と時間がかかるということが政治家にも官僚にもわかっていない。現場は「通達すればそれで終わり」ではない。

そもそもあの自民党幹事長はなんなんだろうと思う。全国旅行業協会の会長をやっているから業界にいい顔したいのはわかるが、感染が広がってしまえばキャンペーンの有無に関わらずほとんどの人は旅行しなくなる。感染拡大が続く限り観光業会は打撃を受け続けることになる。今の業界にとって打撃を受けているいちばんの原因は新型コロナの感染拡大だけだ。これをなんとかしない限り抜本的な解決策はない。

国民の選挙で選ばれたわけでもないのにどうしてあんなバカたれをいつまでものさばらせておくのかわからない。小笠原に空港を作る話が出て生態系への影響について質問された時も、「絶滅危惧種なんてどうだっていい!経済だ!」と言い放った男だ。こんな男が大きな影響力を持っているようでは自民党がコロナより先に収束していく絵面が見えてきた。