0か100か

11月に入って新型コロナの感染が全国で急激に拡大している。今までは首都圏や大阪圏が中心だったが今では北海道や沖縄はもとより東北や中国、四国、九州地方にまで広がっている。

一方で政府は観光や飲食業などへの経済対策として一連のGo Toキャンペーンを展開している。「人の移動が感染を広げる」という一時期の研究報告とは相反する対策を取ることでガタガタになった経済を持ち堪えさせようとしている。人はいつまでも家の中に篭って外にも出ず旅行にもいかず会食やお喋りをしないことに我慢はできない。

それに別に旅行することや商店街で買い物することが直接的に即感染拡大につながるとは思っていないが、それらを実施し継続することについて国は「各自治体の判断に任せる」と言い出した。言い出しっぺが責任を放棄して地方自治体に丸投げし始めたというわけだ。国会議員や大臣、公務員にありがちなやり方である。

ニッポン人は比較的素直に親方の言うことを守る性質がある。「外に出るな」と言われれば多くの人は我慢して家から出ないようにする。それは我慢している結果だ。親方が「もう出てもいいよ」と言えば堰を切ったようにどっと流れ出る。自然なことだと思う。それが原因かどうかはわからないが恐らくはそのせいもあって感染は拡大した。

新型コロナ対策に答えはない。飲食店や観光関連業者は「せっかく客足が戻ってきたのに感染拡大すればまた苦境に立たされる」と言うが感染が拡大しているのは誰のせいでもない。強いて言えばみんなのせいだ。自分だけが被害者ではない。気の緩みや増加している飲み会や地方や東京への移動が増えたことなどが原因かもしれないが実際のところはわからない。

それでも国や自治体は積極的で強権的な対策を取ろうとはしない。それは国全体への経済的なダメージが大きく国民から非難を受けかねないからだ。補償するお金もなくなってきたしある意味では仕方がないと思う。それでも我々には政府にはできない対策がまだ残っている。

若い頃、自動車レースをやっていた頃にある大先輩に言われたことがある。「トリスさんはアクセルもブレーキもいつも全開か全閉でしょ?」 アクセルにもブレーキにも微妙な加減がある。サーキットではアクセルやブレーキをいつも全力で踏み込むのではなく、状況によって2割の力加減で踏んだり時には8割の力で踏み込んだり時には軽くブレーキをかけたりしながら車の動きをコントロールする。

今回の新型コロナ対策も同じだと思う。やるかやらないか行くか行かないか、0対100の二択ではないと思っている。その加減がどれくらいになるのかはわからないし時と場合によって変わるだろう。正解はない。その時のバランスを見ながら私たち自身が判断して行動しなければならない。

この先、仮にワクチンが完成したとしてもそれだけで感染拡大をコントロールできるわけではない。それでも政府や自治体が怖がって国民に的確な指示を出せないのなら、私たち自身が状況を判断して柔軟に行動を変化させていくしかないと思うのだ。

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