「ちょっと背伸びしすぎじゃない?」と言われたことはないだろうか。真意は「あなたには高嶺の花だよ」ということかもしれない。つまり分不相応だということだろう。でも誰だって欲しいものを手に入れようとして手を伸ばせば自然と背伸びしてしまうことはある。それは悪いことだろうか。

身の丈にあった選択をしていればやることに無理はない。安心・安全に成功することを確信できる。自分が取り掛かったことがほぼ間違いなく成功するのだから先の見通しも立つ。でもボクにしてみればちょっと退屈な気もする。届きそうで届かない。「あとちっとなんだけどなぁ」と思いながら背伸びをしてちょっと飛び上がってみたりする。

運動不足の上に中高年になってくると、ほんのちょっとした無理でも筋肉がつったり肉離れを起こしたり、運が悪ければ転んで怪我をしてしまうこともある。そんな時に「ほら、だから言ったじゃない」とこれ見よがしに非難されることもある。でもほんの少しのリスクを恐れて冒険することを忘れてしまったら、今手の届く範囲のものしか掴むことはできない。

以前ここにも書いたが、バスケットでパスを遮ろうとした時にほんのちょっとでも指先に触れることができたなら、そのボールは必ず掴めるのだ。(2020/8/1「掴め!」)そう思って跳ばなければいつまで経ってもボールも夢も掴むことはできないと思っている。ほんのちょっと無理することが自分をわずかに成長させる。

ほんのちょっとの無理は一度だけしても成長することはできない。知らないこと、難しい本でもちょっとだけ無理してチャレンジしたり理解しようと努力して読みきってみる。もちろん精一杯努力しても掴めないこともある。でもそれは「今は掴めない」だけかもしれない。毎日ちょっとずつ無理をして背伸びをしているうちにいつの間にかある日突然掴める時がやってくるかもしれない。

中学生の頃、フォークギターのFのコードがどうしても押さえられなかったことがあった。(2020/1/5「”F”の壁」)それを毎日懲りずに左手が痛くなっても無理して練習していたらある日突然弾けるようになったことがあった。左手に指先の皮がだんだんと厚くなり筋肉もついてコツも掴めたのだろう。ちょっとの背伸びが自分でも気づかないうちに自分を成長させることはある。

あの時の感動をもう一度思い出して、ボクも毎日少しの背伸びを続けていきたいと思っている。