弱気なロボットを開発している人がいるという。ロボットというとなんでも自動で全部やってくれる便利な機械を想像するが、”弱気な”ロボットはちょっと違うらしい。最後まできちんとやってくれなかったり、「それはちょっと難しいです」などと弱音を吐くことがあるという。

完璧に仕事をこなす部下がいれば自分にとってそれは便利で都合のいいことだが、全部を任せていつも丸投げをしていると自分で考えて行動する力は弱まってくる。

例えば、そのゴミ箱の形をした自動ロボットは自分で歩き回ってゴミを見つけたら、落ちているゴミのそばで立ち止まって誰かが拾ってゴミ箱に入れてくれるのを待っているのだそうだ。最後は誰かがゴミを拾って自分の中に捨ててくれるのを待っている。

やってもらえるのを待っていることで人はつい「手伝ってあげよう」と思うらしい。もちろん面倒すぎることなら知らんぷりしても簡単なことならやってあげたくなるものなのだという。

今の日本では、特に都会では誰かに何かをやってあげようという気持ちになることが少ない。ゴミ箱の前に空き缶が落ちていても「ちゃんと捨てろよ」とは思ってもそれを拾ってゴミ箱に捨てる人はほとんどいない。

信号機のない横断歩道で立ち止まって待っていても止まってくれる車は少ない。日本人は誰かのためにちっとだけ手を貸してあげることもしなくなってしまった。

小さな子供でも、ダメなロボットを自分が手伝ってお世話しているときは自信満々の得意げな表情になる。人は生まれながらにそんな優しい心を持っていて、それを行動に移すことで自分の自尊心を満たしているのかもしれない。もちろん自尊心のためにやる打算的な人ばかりではないが、たとえ自尊心のためであってもそれを行動に移せる人はステキだと思う。

時々弱音を吐く”弱いロボット”がそんな人の心を思い出させてくれるのなら、まんざら捨てたものではないと思う。