今年は2月頃から付与いう不急の外出自粛が叫ばれ、4月には政府の緊急事態宣言が出された。その後、感染確認者(感染者の数は全く分かっていないのでここでは”感染確認者”ということにする)の数は徐々に減少し始め、5月の下旬には首都圏でも一旦沈静化したかに見えた。

しかしその後の自粛要請の解除などで再び上昇に転じ、政府の「Go To トラベル」キャンペーンの影響があったのかどうかは定かではないものの数字の上では既に4月の感染拡大を超えるかの勢いを見せている。

もっとも東京都もその他の道府県も何の数字を統計に使っているのかは曖昧だし、「検査数が増えたから陽性者数も増えたんです」などという官房長官の発言に至っては「だったらそんな意味のない数字を発表するな」と言いたいくらいである。もはや完全に数字が一人歩きしている。これは政治家や公務員が一番嫌っていることではなかったのか。それを政府の官房長官が平気で口にしている。

最近では首都圏や名古屋圏、近畿圏、福岡圏に限らず北海道から沖縄まで全国的に感染確認者の数は着実に増えている。そんな中で先日のニュースのインタビューに岩手県の若者が答えていた。今まで感染者が一人も確認されていなかったあの岩手県だ。

「今日は、あの〜、マスクしてないんですけどぉ〜、
 明日からは絶対にしようとぉ〜思いました」

えっ、この期に及んで人混みでまだマスクすらしていない人が普通にいることに驚いた。これはたぶん首都圏と地方都市の感覚の違いだ。東京・神奈川・埼玉・千葉あたりでは2月頃から「マスクをしない奴は非国民」くらいの勢いで、街中でマスクをしていない人が罵倒されたり殴られたり誹謗中傷を受けたりしていた。「おまえがウイルスをばら撒いてる張本人か」と何の根拠がなくても非難されるような風潮があった。それが半年、6ヶ月前からずっと続いている。

「外出するときには必ずマスクを」というのは少なくとも首都4県では常識になり「新しい生活様式」になっている。それが岩手の若者からは「へぇ〜、そうなの?」という感覚すら感じられた。だが無理もないことだろうと思う。今まで自分のことに置き換えて考えることができなかったのだから。

我が家では今年になってからランチを含めて外食というものをほとんどしたことがない。外食どころか、介護以外でボクは市外に出たこともなければ電車やバスなどの公共交通機関にも乗っていない。ただ1度、駅まで買い物に行った帰りに10キロの荷物が重くて1度だけバスを使った。駅の改札は1度も通過していない。

ただ1度だけ緊急事態宣言が解除されたときに、「食べて応援」と思って近所の居酒屋に妻と2人で行ったが、店内にいた1時間ほどの間に1名の従業員の他には誰も店に入って来なかった。

ここら辺りでは「家の外に出て他の人に会えば感染したりさせたりするかもしれない」ということが半年の自粛生活の中でかなり染み付いてきたし本気でそう思っている人が大多数だが、これまで今回の新型コロナ感染を身近に感じていなかった人にとってはまだ他人事なのだろう。

原理主義的に「あれはダメだ」「これはやらなきゃダメだ」とヒステリックになる必要はないが、24時間365日、意識の片隅に”感染症”のことをとどめておく必要はあると感じている。伝染病は油断すればたちどころに広がるらしい。これからは不用意な旅行者もそうだが、もっとも警戒すべきは家の近くでもランチや会食にホイホイと出かけている地元民の油断ではないかと心配している。