先日テレビで、子供が”信用できる”と思えるオトナの条件はなんだろう?という話をしていた。オトナになればそれぞれの人を見て普段の行いや会話などから「こいつの言うことは信用できそう」とか「こいつは信用できない」という判断をすることになるが、子供にとってオトナを判断する基準はなんなのだろう。

もちろん自分に向かってウソをついたことのあるオトナは信用できないかもしれない。でも自分があまりよく知らないオトナだったらどうだろう。一般に親だったり目上だったり先生の言うことは信用することが多い。それは信用することでいいことが起こるからだ。ちゃんと言うことを聞いていれば、アイスやご飯が食べられたり遊びに連れて行ってもらえたりする。

自分があまりよく知らないオトナの言うことは判断する材料が少ない。「言うこと聞いたらアイスを買ってあげるよ」と言われても子供にはそれがウソか本当かの区別はつけられないことが多い。自分の親のように体が大きなオトナの言うことだからとりあえず信用するかもしれない。でも言うことを聞いていてもアイスを買ってもらえなかったらどうだろう。

かつて仕事にかまけて子供に関わる時間がほとんどない時があった。だから娘はボクの言うことをあまり信じなかったし言うことも聞かなかった。ある日のこと、駅まで歩いて買い物に行こうとした時に娘が「一緒に行く」と言い出した。当時、娘は駅まで歩いていくと帰りには疲れて歩かなくなってしまうことが多かった。

もう夕方だしオブって帰ってくるのも面倒だったので「ちゃんと自分で歩くなら連れて行く」と言ったら「ちゃんと歩く」と言う。ボクは娘と二人で出かけることにした。ところが買い物を終えて帰り道、案の定娘はぐずり出して歩かなくなった。おだててもスカしてもテコでも動かないのでボクは伝家の宝刀を取り出した。「家まで歩いて帰ったらアイスを食べよう!」。子供はアイスが大好きだ。まったく歩かなくなっていた娘はそれを聞いた瞬間に立ち上がって元気良く歩き始めた。

家に帰ったら妻が夕食の支度をしていた。娘は帰るなり「アイス!」と催促した。いつもならご飯の前にアイスを食べさせることなど絶対にしないのだが、この時ばかりはさっきの約束がある。「ご飯の前だからダメだ」と言えば泣きだすに決まっている。

それに娘は現に約束を守って家まで歩き通した。約束したオトナのメンツもある。「ダメよ」と言う妻を制して「さっき約束しちゃったんだ」と言ったら妻は苦笑いしながら「じゃあしょうがないね」と言いながら冷蔵庫から1本のアイスを出して娘に手渡した。娘はご機嫌でアイスを食べ始めた。

ほんの些細なことでも子供にとって重要な約束を平気で破るようなオトナが言うことは金輪際信用しなくなるだろう。「この人の言うことだったら信用できる」と思ってもらえることは子供を叱る時にも大きな効果をもたらす。自分が信用しているオトナに叱られることは子供にとって悲しいことなのだと思う。だからオトナも子供との信頼関係を保とうとするなら信用される大人にならなくてはいけないのだと思う。