政府がキャッシュレスを推進しようとするのには色々な裏事情があるのだろうが、その一つに「ポイント還元」というのがある。クレジットカードや電子マネーの利用額に応じてその場で割引されたりカードのポイントやマイルになっていくらかお得になるという施策だ。もちろん今までもカード会社のポイントやマイルを貯められる制度はあったが、あくまでそれはカード会社の顧客囲い込み策でしかなかった。

政府の始めたポイント還元策は(もう終わってしまったが)カード会社をまたいで利用額に応じてポイントをつけて「お得になりますよ」「だからカードや電子マネーを使いましょう」というものだった。確かにカードの請求書を見てみると月に数百円が割引になっていた。もちろん財源は我らから集めた税金である。貰わなきゃ損だ。

以前から我が家では生活費の多くをキャッシュレスにしていた。光熱費やスーパーでの買い物はクレジットカード払いだし、東京まで通勤していた頃の定期代などは月に10万円以上にもなっていたがモバイルSuicaの定期券をクレジットカードで購入していたのでポイントもザクザク貯まっていた。

朝、家を出てから電車に乗って都内へ行き、職場の近くのコンビニでお茶などをSuicaで買って職場では社食が社員証をかざすと給料天引きだった(注:カードのポイントは付かない)。帰りも同じようにSuicaで電車やバスを使って帰ってくると、1日中お財布を出すことはない。ある時など夜、家に帰ってデスクに置きっぱなしになっていた財布を見つけてから初めて財布を忘れて出かけたことに気づいたほどだ。

最近では自動車税などもクレジットカードで払うことができるようになったが、カード払いにすると手数料が加算されてしまうので税金だけは今でも現金で払っている。IT後進国の日本らしい制度だ。

「ポイ活」というのがあるらしい。ポイント活動の略だという。最近ではなんでも略して言うのでポイ活などと言われても婚活や就活などに混じってしまってなんのことだかさっぱりわからない。ポイ活はクレジットカードなどを使った時に付与されるポイントをお得に貯めようという趣味のようなものらしい。

そういえば昔、ポイントと言えば航空会社のマイルくらいしかなかった頃、貯まったマイルだけを使って無料で海外旅行に行くために、意味もなく不要不急の0泊3日サンフランシスコ弾丸往復をして(もちろん有料)マイルを貯めていた友人もいた。向こうの空港で降りたらそのまま帰りの便にチェックインして観光も何もせずに帰ってくるのである。それを”修行”と呼んでいた。タダで旅行をするために無駄に時間とお金を使うのだから得なのか損なのかわからない。まぁ一つの趣味だ。

ポイ活ではないがネットオークションでも得をしようとして損をしている人をよく見かける。オークションはご存知の通り最安値からセリが始まり、だんだんと高い値段をつけていく。そして最後に1番高い値段をつけた人が競り落とせる仕組みだが、誰かと値段を競り合っているうちに新品の定価より高くなっても競り落とそうとする人が現れる。中古品を安く手に入れるつもりでオークションに参加しているのに気がついたらAmazonの新品よりも高い値段をつけていたりする。これも本人が趣味のオークションを楽しんでいるのかもしれない。

50万円分を得するために3000万円分のいらないものを買うのは、もはや得することが目的ではなくなっている。つまりは欲しくもないものであってもカードを使ってポイントを貯めること自体が楽しくなっているのだろう。それはそれで趣味としてアリだと思う。ギャンブルでスッテンテンになるよりも健全かもしれない。

我が家では年に1〜2回飛行機に乗る機会があるのでカードで貯まったポイントは全て航空会社のマイルにしている。生活費のほとんどをキャッシュレスで支払っていると年に1回の沖縄旅行くらいなら2人分が賄える。だから最近では航空会社に支払いをすることはほとんどない。申し訳ないような気もするがカード会社から航空会社にお金を払っているのだから気にする必要もない。