新型コロナウイルスに感染している人と濃厚接触したというアラートの出る”接触確認アプリ”というものが政府から提供された。先月の6月19日のことである。

公表した瞬間から「探しても見つからない」「ダウンロードできない」などと苦情が殺到してケチがついた挙句、感染者がいても登録できないという状況が1ヶ月近くも続いている。厚生労働省は7/13に「最新版をリリース!」などと言っているが、こんな基本的なバグで使い物にならないアプリを正式版としてリリースしてきた日本政府のことだから信用も地に堕ちたと言ってもいいだろう。使えないのだから個人情報の漏洩を心配する以前の問題だ。

いや「消えた年金問題」の時にすでに信用は地に堕ちていたから、中国政府が事故を起こした中国版新幹線を世界のマスコミの目の前で穴を掘って埋めた事件とさほど変わらない。あれから13年経っているがあの時も安倍政権だった。それがきっかけで安倍晋三首相はお腹が痛くなって政権から引きずり降ろされた。安倍政権のIT戦略はあの時から全く進歩していないことが明らかになったということだ。

政府主導のIT戦略はマイナンバーカードを使った給付金のオンライン申請を見てもわかるように、いつも巨額の予算をつぎ込んだ挙句に使い物にならないアプリを拡散して破綻することになっている。だからその話を聞いた瞬間からボクはダウンロードする気にもならなかった。リリースしてから1日も経たないうちに「全く使い物にならない」ことが発覚しても誰も責任を取る気がないらしい。元システム屋としては、こんなにのんびりとデバッグに時間をかけているうちに新型コロナも収束してしまうのではないかと変な心配をしている。

消えた年金問題の時は「このシステムでは年金記録を追跡する手段がない」などと無責任なことを言っていたが、民間の開発会社の社長がわずか2日で追跡支援システムを一人で作ってしまった。おそらく政府が数10億円と長い時間をかけて”お友達の”システム会社に発注したものよりも民間企業の社長一人の能力の方が優っているとは、これこそ究極の無駄遣いだ。

官公庁が発注するシステムは「信頼性が最も重要」だと言われ続けてきた。だからやたらと民間企業には発注できないのだと言われてきた。ところが国に限らず都道府県や地方自治体のホームページのなんとわかりにくいことか。知りたい情報にたどり着くまでにはたっぷりと1時間はかかる。その上に書かれている情報はいつも数行で中身はほとんどない。

これが民間企業だったらあっという間に潰れている。X非効率(競合がいない独占企業は効率化の努力をしないのでダメになっていくという経済用語)はそこらじゅうに転がっている。