10数年前に日本でもiPhoneが発売されたのをきっかけにスマートフォンが増え始めた。当初は「こんな弁当箱みたいなのを持って電話ができるか!」などと言われたが、今ではスマホを耳に当てて電話をする姿はごく普通だ。それどころかSNSの隆盛で電話そのものが廃れてきてしまい、若者の間では通話でコミニュケーションをする人が少なくなっている。

あれ以来スマホを使う人は爆発的に増え、総務省の調べによればガラケーを含めた携帯端末全体の保有率は95%にもなり、そのうちでスマホは80%にもなる。スマホといえども中身はパソコンのようなものだから単純計算すれば国民の75%はコンピュータを持っていることになる。

一方で、なんとなくコンピュータらしい造形をしたパソコンはどうなのか。これも総務省の調べでは74%程度の普及率になっている。スマホには及ばないもののかなりの普及率だ。もちろんスマホやタブレットとパソコンの両方を持っている人もいるので単純比較はできないが、身の周りを見回してみると仕事などで企業が所有しているもの以外にも特に高齢者には個人でパソコンを持っている人も割と多い。

これは前期高齢者の中にはサラリーマン時代に会社でパソコンに触れてある程度馴染んでいたために、定年退職してからも個人でパソコンを買った人が多いのではないかと思われる。パソコン関係のセミナーなどをやっていると男女問わず自分のパソコンを持ち込んでくる高齢者も多い。そしてそのパソコンは概して10年近く経っている旧型だったりする。

ご存知だと思うがパソコンやスマホの性能は日進月歩で、10年ほど前と今のパソコンでは処理速度に雲泥の差がある。サラリーマンだった頃に社内のコンピュータを管理する部門にいたことがあり、ユーザー(社員)からの問い合わせに答えたりパソコンにトラブルが起きた時には呼び出されたりしていた。この時に感じたのは、IT化が割と進んだ企業でも社員が使っているパソコンのパフォーマンスの低さだった。

ボクは個人的な趣味もあって自宅や職場で使うパソコンでも比較的パフォーマンスを高く保っていたので、パソコンを使った仕事でストレスを感じたことは少なかったのだが、社内でITに無頓着な社員が使っているパソコンはクリックしたりキーボードを叩いたりしてもとにかく処理が遅いのだ。中には「壊れているんじゃないか」と思うほど長時間反応しないものもあった。よくこれで仕事ができるものだと呆れたこともある。

それは別として自宅で個人的にパソコンを使う程度であればあまり性能にこだわる必要もないので多くの人はロースペックになってしまったものを使い続けている。そしてこれも想像だが、今に時代にあえてパソコンを使わなければならないことも少ないのだろう。大抵のことはスマホやタブレットで簡単に済ませられるのでわざわざパソコンを立ち上げる必要もない。

最近は若者の方がパソコンの所有率が下がっていて、新入社員でもパソコンの所有率が半数にも満たなかったり今まで触ったことがないというものまでいる始末だ。職場の業務をスマホやタブレットで済ませられることはまだ少ないのでいずれにしてもパソコンが使えるようにならない限り交通費の申請や休暇届さえ出せないので嫌でも習得してもらわなければならないのだが、そんな学生が増えたのもスマホの普及があってのことだろう。

つまり今では仕事で使う人以外にはあまりパソコンの必要性を感じないということなのだろう。そうすると社内でも高齢の社員ほどパソコンのリテラシーが高く、学生時代にスマホしか弄っていなかった若者はパソコンが使えないという逆転現象が出ている。昔は高齢者世代のパソコンなどのリテラシが低いことをデジタルデバイドと呼んでいたが、今では若いほど使えないという逆デジタルデバイドが発生している。時代は変わったなぁ。