携帯電話が一般的になりつつあった頃、まだインターネットに繋がる携帯電話はなかったのでそれは通話と同じ携帯会社(キャリア)同士でメッセージのやりとりができる携帯メールが盛んだった。もっともそれまではポケベル同士の暗号通信のような文字でしかメッセージのやりとりはできなかったのだから画期的な進歩だった。

あれから30年、携帯電話はiモードでインターネットに繋がるようになってインターネットメール(いわゆるE-Mail)が使えるようになり、携帯電話はスマホになりLINEやTwitter、FacebookのようなSNSが台頭してきて、必要ならいつでもどこでも即座に連絡が取れる時代になった。

そんな中でいわゆるショートメッセージを使っている人はどれくらいいるのだろう。そもそもショートメッセージの存在を知っている人がどれくらいいるのだろうか。ショートメッセージとはSMSなどと呼ばれ、相手の携帯電話番号さえわかれば短い文字メッセージを送ることのできるサービスだ。

以前は70文字までのまさに”ショートな”メッセージしか送れなかったのだが、最近では670文字まで送れるようになった。SNS全盛の時代にSMS(混乱しやすい名前だ)で通信する必要もないし若干だが契約しているプランによっては料金もかかるのであえて使う人も少ないだろう。

だがここ10年くらい、ボクは時々ショートメッセージのお世話になっている。学生時代の同窓会の連絡だ。一度は全員の携帯番号やメールアドレスを調べて名簿を作ったこともあった。

ボクらが学生だったころには携帯電話などなかったのでわかっている情報といえば卒業アルバムに載っている(当時はまだ個人情報にうるさくなかった)実家の住所と電話番号だけである。もちろん就職や結婚、転勤などで実家を離れたケースも多く、携帯番号を調べるだけでも大変だった。

最近ではオレオレ詐欺が横行しているので怪しい電話(息子や娘のかつての同級生だと名乗ってくる電話は十分に怪しい)をどれくらい相手にしてくれるかわからず、ましてや実家に電話して、高齢になった友人の両親から子供の携帯番号を聞き出すことなどできるのかと心配していた。しかしいざ電話をかけて名前を名乗ると「あら!トリスくん?久しぶりね〜!」などと名前を覚えてくれているご両親も多く、なんとか携帯番号までは聞き出すことに成功したのだった。

問題はここからだ。教えてもらった携帯番号に電話しても電話に出てくれる人はあまりいなかった。ボクだって知らない番号からかかってくる電話には基本的に出ないようにしている。そんな時に役に立つのがショートメッセージだった。相手が留守番電話の設定になっていなくてもメッセージだけなら強制的に相手方に送りつけることができる。ここに自分の簡単な素性と名前、電話番号を書いておいて「電話くれ!」とメッセージを残すのだ。これは実に効果的だった。ほぼ100%の確率で電話がかかってきた。

しかし電話番号だけでは何かを連絡しようと思ったら全員に電話をかけなければならない。メールなどの連絡先を確保したいところなのだが、ボクらの年代になるとメールを使っていたりLINE、Facebook、ミクシィ(まだあるのかな?)などそれぞれに使っている手段が違っていて一概に「メアド教えて!」では済まない。そもそもスパムメール対策でわけのわからないメアドにしている人も多いから電話口で聞き出すことは難しい。だからボクは「前に送ったショートメールでこちらのメアドを送るから、自分の名前だけ書いて返信してくれ」と伝えた。これも効果てきめんだった。これでなんとかメアドも獲得できた。

しかし昔の同級生や部活動の古い友人たちにメッセージを送ることなどそうあるものではない。先生や同級生の誰かが死んだ時や同窓会をやろうとするときだけなのでボクらの歳ではまだ5年や10年に一度だ。いざそんな時にメールを送ると「このメアドは使われていません」とメールが届いていないというメッセージが戻ってくることも多いのだ。今でもキャリアを変更するとメアドが変わってしまうことが多いので致し方ない。

しかしありがたいのは今ではMNP(モバイル・ナンバー・ポータビリティ)のおかげでキャリアを変更しても電話番号だけは変わっていないことが多いのである。携帯番号さえ変わっていなければ再びショートメッセージの出番だ。「メアド変えた?」とメッセージを送れば今のメアドを知ることができる。

SNSも時代とともに「ミクシイはやめちゃった」「もうLINEは見てない」「Facebookはやめちゃった」などという人も多くいつまでも連絡がつく保証はない。そんな時でもショートメッセージという最後の手段があればなんとかなることが多い。ITの世界は日進月歩で新しいサービスが生まれるが、古いものには古いものの良さがあるものである。