福岡・大分の九州北部豪雨や広島・岡山・香川などの西日本豪雨に続くように東日本でも千葉県で暴風に見舞われ、鬼怒川や千曲川などが氾濫して甚大な被害を出した。テレビの映像などをみていると民家などが濁流に飲み込まれて流されていく様子が映し出されていた。デジャブ。以前にもテレビでそんな光景を見たことがある。1974年(昭和49年)に東京・狛江市で起きた多摩川水害だ。

この出来事はのちに脚本家・山田太一さんのドラマ「岸辺のアルバム」の題材にもなった。家族の思い出の詰まったアルバムが家ごと濁流に飲み込まれていくときの家の主(あるじ)の無念さが描かれていた。山梨・東京・神奈川の県境を流れる多摩川では過去にも水害の被害を出しているが、テレビカメラが、真新しい新築の家が次々と流されながらその窓にカーテンが揺れる様子を撮った映像は衝撃的だった。

今年は春先から新型コロナウイルスの感染拡大で緊急事態宣言が出されたりした影響で春という季節を感じないまま梅雨になり夏になった。最近は日本の夏は災害の夏だ。台風はもちろんだが台風でなくても猛烈な雨が降り川が決壊したり川から逆流した水で浸水被害があちこちで起きている。もちろん以前にも川の氾濫や浸水被害がなかったわけではない。しかしそれはそれこそ数十年に一度のことだった。今では50年、100年に一度と言われるような水害が毎年あちこちで起きている。

最近ではあまりにも風水害のニュースが多すぎて意識も麻痺気味なところがあるが、新型コロナの感染と比較してもかなり緊急性の高い命に関わる災害だ。もちろん風水害は感染して全国に広がってしまうことはないから注意すべき予防は新型コロナと異なる。それでも新型コロナは日本に限って言えば今のところ重症化して死亡してしまう例は限定的だが、風水害に関して言えば土砂崩れや河川の氾濫・浸水などの被害を受ければ即、命の危険にさらされる上に家や財産まですっかりなくなってしまう。ただどちらも自分が気をつけているだけでは避けられないところは共通している。

新型コロナに関しては”避難”することはできない。どこに逃げてもリスクはある。しかし考えてみれば風水害や地震に関しても日本にいる限りはどこにいてもそれから逃げることはできない。平地なら土砂崩れの心配はないが浸水や津波のリスクがある。高台に行けば浸水や津波の心配は減るが土砂に埋まるリスクは増加する。なにも不安を煽るわけではないが、ただ地震以外の風水害に関しては数日前にはほぼ確実に危険が迫っていることがわかるのだから前もって避難の準備をすることはできる。

それぞれのリスクには異なる対応が必要だ。ただなんとなく恐れているだけでは何も解決しない。今自分が準備しておくべきことをそれぞれのリスクに応じて考えておけば、いざとなった時にも余裕を持って行動することができるのではないかと思っている。目の前に迫る危機に直面して「聞いてないヨォ〜」などというのはお笑い芸人のネタだけで十分だ。