10代の終わりころに車の免許を取った。当時は運転することが楽しくて1年間で10万キロも走った。関東地方周辺の狭い地域だけで地球2周半の距離を走った。当時流行っていた暴走族のように車を改造したりすることはしなかった。しなかったがその金を全部ガソリンとタイヤに費やして狂ったように走っていた。学校もあったので走りにいくのは土曜の夜からの24時間だ。まだ週休二日制はなかった。

横須賀から静岡、長野、群馬、新潟、岐阜、栃木、福島などへ長距離を夜通し走っていれば雨の日もある。当時はモーターラリーをやっていたので舗装されていない山奥の砂利道に練習に行くこともあった。舗装されていない道は雨が降るとドロドロになって大きな水たまりもできた。そんなところへブレーキもかけずに突っ込むと跳ね上がった水がフロントガラスに飛んできて視界が全くなくなる。ワイパーなど間に合わない。怖い思いもした。

「レインX」という商品をご存知だろうか。自動車のアクセサリーでその液体をフロントガラスに塗っておくと一瞬で水を弾いて視界が確保できる。雨の日にもワイパーを使う必要がないというものだ。当時はテレビCMでもずいぶん宣伝されていたが学生にとってはそれなりに高価だった。テレビCMは誇大広告で眉唾のような気がしていたしボクにとってはガラスの油膜のギラギラの方が気になっていたのでクリンビューばかり買っていた。

ある時、全然信じていなかったそんなレインXを、車仲間で”新しい物好き”のヨネザワ君が買ってきた。彼の車はもう15年は経っているケンとメリーのスカイラインだ。通称「ケンメリ」と呼ばれていた一世代前の暴走族御用達の車だ。そんなケンメリを彼は全く改造しないで乗っていた。それもそのはず彼のお父さんは交通課の警察官だった。暴走族のような改造が許されるはずもない。

彼はその日、大枚1000円をはたいてレインXを買ってフロントガラスに塗ったらしい。偶然にも夕方から降り出した雨は次第に激しさを増していた。ボクのアパートにやってくるなり「レインX、すげー!すげー!」と興奮して言うので仕方なく彼の車に乗って近くのファミレスまでお茶しに行くことになった。

彼は車のエンジンをかけて車を走らせ始めたが酷い雨なのにワイパーを動かさない。と思ったその瞬間、時速20キロくらいで走る車のフロントガラスについた小さな水滴が上に向かって流れ始めた。走り始めた車の風圧で水滴が飛んでいくのだ。ワイパーなど動かさなくても視界がすっきりで逆にワイパーをかけたほうが視界が悪くなるほどだ。油膜も全くなくなっている。驚くようなレインXの効果を眼の前で見せつけられたボクは一瞬で「レインX原理主義者」になった。それ以来、30年以上も車を運転しているが「NO DRIVING, NO RAIN-X」である。

最初はテレビCMなど全く信用していなかったのに百聞は一見に如かずとはこのことである。砂利道で泥水を被っても怖い思いをすることはなくなった。さぁ皆んなも「出かけるときにはレインXを忘れずに!」(個人の感想です)