点呼で名前を呼ばれても返事をしない人がいる。それも一人や二人ではない。何十人いても半数以上が返事をしない。名前を呼ばれると軽く頭を下げるだけだ。点呼を取る人も「呼ばれたら返事をしてください」と案内しているのに、返事がないので会場を見回して目の合った人に「あなたですか?」などと確認をするので甚だ効率が悪く、出席に確認をするだけで無駄に時間が過ぎていく。

最近増えてきたオンライン会議でも相手から「聞こえてますか?」と質問されて、聞こえているのに返事をしない人もたくさんいる。カメラに向かって両手で大きく丸を作るならまだわかるが、聞こえているなら意思表示をしてくれないことには”聞こえていない”だのと判断せざるを得ない。

メールが送られてきて重要な用件を伝えられて自分は読んでいるのに返事をしない人もいる。ITリテラシーの低い人やネットコミュニケーションに慣れていない人は、「メールやSNSのメッセージは必ず相手に届いている」と思い込んでいるので「返事をしなくてもいいだろう」くらいに思っているのかもしれないが、メールが自動的に迷惑メールに振り分けられてしまって届いていないことはしばしばあるし、仮に相手に受信されていたとしても「既読スルー(既読になっているのに読んでいないこと)」されていることもある。電話の時代とは違う。

FAXの時代は送信した後で相手に電話をかけて「今FAX送りましたけど届いていますか?」と確認していた。メールを送信した後に読んだかどうかを電話で確認するのはバカげているが(電話口まで呼び出して相手の時間を無駄にしてしまうから)、「見ましたよ」とひと言返信をするのにどれほどの手間がかかるというのだろう。

目の前で話をしていても無表情で聞こえているのか伝わっているのか理解しているのかわからない人も多い。伝わっていないなら別の手段で伝えることを考えなければいけないのに反応がないのでは対応のしようがない。ウンともスンとも言わないからどうしたらいいものかわからない。「わかってますか?」と聞くと「わかってますよ」と平然と答える。

返事をしたり挨拶をするのは最低限のコミュニケーションだ。最近は大人も子供も、名前を呼ばれても返事をしない人がとても多い。それでいて「自分はコミュニケーションが苦手で…」などと平気で言う。相手の呼びかけが聞こえているなら返事くらいするのが最低の作法だと思う。コミュニケーションが苦手だと思うならまずは返事をしたり挨拶をすることから始めてみたらいい。

「便りのないのはいい便り」と言っていたのは郵便の時代までだ。話を聞く時には相手の目を見る、呼ばれたら返事をするのは日本人が躾をしなくなったからだろうか。