テレビでは相変わらず健康番組やグルメ番組が人気だ。いや人気なのかどうかはわからないが、お笑いなどの他の番組よりも好き嫌いは少ないし薬にも毒にもならないような緩さで今の政権のように「他の番組よりも良さそう」と思ってダラダラと見ている人が多いのかもしれない。それは旅番組も似たようなものだが、このご時世でロケにも自由には行きづらいと自ずと矛先(?)は健康グルメ番組に向かうことになる。

一頃はスーパーの鮮魚売り場に行くと”♪魚、魚、魚ぁ〜♪”という歌がかかっていたものだが最近ではあまり聞かれなくなった。「魚を食べると頭が良くなる」などという歌詞の根拠が曖昧だと言って非難されたとも聞く。その真偽はともかくも日本人は古来から魚が好きだった、と言われる。

DHAだのEPAだのオメガ3脂肪酸だのと青魚が健康にいいと言われて久しいが、ボクは子供の頃、正直なところ魚が好きではなかった。いやどちらかといえば嫌いだった。魚は生臭いし骨があって食べるのも面倒くさかった。今も多くの若者がそうであるように肉が好きだった。お刺身は嫌いではなかったがお刺身とステーキのどちかかを選べと言われれば、大抵は肉を選んだ。

そんなボクだったがいつの頃からか食べ物の好みが変わってきた。もちろんステーキやハンバーグを見れば美味そうだなぁと思う。食べたいなぁと思う。しかし実際に食べ始めるとすぐに後悔してしまうようになった。胃がもたれて気持ちがよろしくないのである。目は欲しがっているのに胃袋が受け付けなくなってしまう。そして今では牛丼屋の隣の定食屋で焼き魚定食かなんか食べているのだ。もうすっかりカツ丼・牛丼には足が向かなくなってしまった。親子丼は今でもたまに食べるし家でも作ることはあるが、どちらかといえば日本蕎麦の方が我が家ではヘビーローテーションである。

最近では夕食もスーパーで干物を買ってきたりサバの缶詰なんかを使ったおかずが増えてきた。夜になってあまり脂っぽいものを食べたくないと思うようになってきた。別にEPAもDHAもオメガ3脂肪酸も関係ない。なんとなく魚が食べたいなと思うようになってしまった。

たぶん好みが変わってきたのは体が欲するものが変わってきたからなんだと思う。水分が足りなくなれば喉が渇き、大量に汗をかいた時は塩っぱいものが美味いと思い、たくさん運動してお腹が空いた時にはご飯やパスタなどの炭水化物が食べたくなる。
どれも自然の摂理だと思う。生き物は自分の体に足りないものを欲しがるようにできているんだと思う。もちろん美味しいからといって食べ過ぎれば別の問題を引き起こすこともあるが、調子に乗らなければ食べたいものを無理しないで適度に食べていればいいのだと思っている。

好みは変わるものである。焼肉定食が好きだったボクも齢五十五を過ぎて焼魚定食ばかり食べている。しかしそれも自然の摂理なんだと思ってあまり我慢することもなく食べたいものを食べている。それでいいのだ!(たぶん)