禁煙戦略はアリなのか?

■ お客様が来なくなる?
2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて与党内では公共施設や飲食店などの屋内の全面禁煙が議論されています。しかし禁煙法は与党の一部国会議員によって反対されています。反対する飲食店の店主(主に居酒屋)たちは「禁煙にされたら経営が立ち行かない」と言いますが、それでは店にやってこなくなるという喫煙者は今後一切どこの飲食店にも立ち入らなくなるというのでしょうか?まったくナンセンスな主張ですね。そもそもすべての飲食店が全面禁煙になるのなら喫煙客が他店に流れてしまうことはありません。だってどこの店も禁煙なんですから。

■ 嫌煙家と喫煙家はどちらがヒステリックなのか
禁煙法はさておき、禁煙化をマーケティングに活かすことは出来ないのでしょうか?

・嫌煙の人は喫煙者の何倍もヒステリックでタバコを忌み嫌っている

という事実があります。特に以前にタバコを習慣的に吸っていた人が禁煙すると、一度もタバコを吸ったことがない人より遥かに強い嫌煙家になります。それは僕が15年ほど前まで習慣的にタバコを吸っていたのでよく分かるんです(笑) 今では車に乗って交差点で信号待ちをしている時に、たまたま隣に停まった車の中で吸っているタバコの臭いや、前を走る車の窓から吐き出される臭いまで気になるほどです。そういう人は店内でタバコが吸える店、言い換えればタバコ臭い店には決して入りません。つまり、店内でタバコを吸えるというだけで多くの嫌煙客を逃しているのです。逆に喫煙者はどうでしょう? 今や多くの場所が禁煙になり、駅のホーム、電車やバスの車内、新幹線、飛行機などはほぼ100%が禁煙となり、国際線の飛行機などは10時間以上もタバコが吸えないのは当たり前になっています。だから喫煙者はどこに行っても我慢することがアタリマエになっており、居酒屋であってもタバコが吸えないことがその店を選ばない大きな理由にはならないということです。特に同行者が嫌煙家である場合にはなおさらです。

■ 禁煙はマーケティングだ
全面禁煙になったロンドンのパブでは禁煙の法制化以前に比べて30%も売上が増えたことがこの事の正しさを示しています。パブとシガーの街ロンドンで、です。「日本では無理」という人もいますが”なぜ無理なのか”の論理的根拠を挙げて説明している人を見たことがありません。そもそもフランスやスペイン、中国でも出来たことがどうして日本で出来ないと考えるのか理解できません。

いやいやそんな議論をすることが目的ではありませんでした。本題に戻りましょう。
以前からこのBLOGでは「他の人(店)がやらないことをやろう!」と言い続けてきました。僕の住む神奈川県は全国で唯一店舗内での禁煙・分煙が罰則付きで義務化されているので(まだ守っていない店もたまに見かけますが)店舗の禁煙化は割と進んでしまっています。しかし、そんな中でもあえて「当店は完全禁煙のお店です」とアピールすることで”お店の特別感”を演出して嫌煙家を積極的に取り込むターゲティングが可能になるのです。マーケティングはお金を掛けるだけが能ではありません。店先に看板一つ、張り紙一枚出すだけで充分に効果のあるマーケティングが可能になるわけです。
今こそ他店に先んじて(世界的には一番の後進国になってしまいましたが)禁煙マーケティングを導入することが大きく売上を伸ばすチャンスになることだってあります。他の人がやらない(やれない)ことをやるのがマーケティングの基本のキなのです。

僕がかつて大会社に勤めていた頃、新しいアイデアを提案すると上司には必ず「他にやっているところはあるのか?」と訊かれました。前例のない事をやって失敗したときに責任が取れるのかと。他社が始めてからその様子を見て自分たちも検討を始めればいいというのでした。しばらくして僕はその大会社を離れました。やがてその大会社は他社に買収され、事業を分割・解体されてしまいました。もう当時の経営陣は一人も残っていません。そのことが会社の明暗を分けたとは思いませんが、そんな体質が徐々に企業を蝕んでいったのかもしれません。