独特の書と詩で有名な書家であり詩人でもあるので誰もが知るところであろう。

 七転八倒
 つまづいたりころんだりするほうが自然なんだな
 にんげんだもの
                    みつを

という書などはカレンダーになったりして広く知られている。

東日本大震災の直後に起きた買い占め騒ぎの時に「うばい合えば足らぬ、わけ合えばあまる」という言葉が話題になった。買い占めでもそうだが一つのところにみんなが殺到すれば奪い合いになる。今回のコロナ騒ぎでもイタリアやスペインでは医療崩壊が起きているという。医療機関に患者が集中してしまって必要な人が医療を受けられない状態だ。

例えば感染していても症状が出ていない人もいる。普通の風邪なら病院など行かない人が”ウイルス陽性”と言われると入院することになる。症状も出ていない見た目には健康な人が病院のベッドを一つ占拠することになる。そこに症状が重篤な患者が来てもベッドに空きがなくて治療が受けられずに死亡したりする。本来なら優先して治療しなければいけないのは重篤な患者なのにである。

買い占めも同じだ。もう十分に持っている人よりも今すぐに買わないと生活に困ってしまう人にこそ行き渡らせなければいけないのに、自分だけが安心できればいいと考えて全部買い占めてしまう。本当に必要な人には行き渡らずに困窮してしまう。それでも困っている人に手を差し伸べることなく自分ファーストばかりを考える。

昔の日本人は違った、とは言わない。昔から浅ましい人間はいたがみんなのことを思いやることのできる人間もいた。しかし高度成長の頃から自分さえ良ければいいと考える日本人ばかりになってしまった。これは終戦後に急速に欧米化された文化の悪影響だと思っている。エゴイズム以外の何物でもない。だからたまにそうではない人を見かけると嬉しくなってしまう。譲り合いの心がなくなった日本に魅力はない。