何かの取材を受けて「この先は企業秘密なんで…」と見せてくれないことがある。代々続く一子相伝の秘密だったり長い間の努力と研究の成果だったりするのだろう。確かに自分が長い時間とお金をかけて開発した技術をライバル会社にやすやすと真似されてはかなわない。いわゆる特許だってそういった技術を守るためにある。でもちょっと見られたくらいですぐに真似されるような技術なら所詮は大した技術ではない。技術というよりそれを思いついた発想力の賜物だろう。

街中の飲食店などでも料理の味付けを尋ねると「企業秘密ですから」というところがある。実際にそこで自分が味わっているのだから知ろうと思って自分の頭で想像すれば多少の時間はかかっても再現することは容易だ。自分が認識できない味や香りなら元々自分の味覚には関係ないのである。感じていても思い出せないからわからないだけで思い出せれば大したことではない。

あとでわかってみれば実にくだらない中身だったりする。でもそれを最初に思いついたのは元祖なのだ。元祖が思いついたからこそその味覚を自分も感じて美味しいと思ったわけだ。知らなければ思い出すことはできない。知らないものは感じることも見ることもできない。

それでも店の主人が「これは企業秘密だ」と言っている側でおかみさんが「なぁ〜にが企業秘密よ、偉そうに!」などと突っ込んでいる姿を見ると女はいつの時代も肝っ玉が大きいなぁと思う。その点で男はいつも玉が小さい小物である。発想のダイナミックさで男が女に勝てる要素は少ない。

でもその小さな発見をする力は男の方が強いのではないかと思っている。小心でいつもつまらないことをクヨクヨと悩んでいなくては些細などうでも良さそうなことに気づくことはできない。だから男も肝っ玉が小さいからといってしょぼくれてばかりいる必要はないのではないかと思う。一見どうでも良さそうな些細なことにこだわって戦後の日本を復興させてきた力の半分は男なのだ。

でもなんでもないことでも”企業秘密だ”と言って隠しているとわずかに売上げが伸びることがある。そんなセコいやり方をするのは大抵男だしそんな小さな嘘に簡単に引っかかってしまうのも大抵は男なのだ。