今月も政府の「月例経済報告」が発表された。それによれば「(日本経済は)緩やかな回復基調にある」らしい。しかしボクはそれを全く実感できないし多くの国民も同じ感想を持つだろう。かつてのように給料が増えているわけでもない。「デフレは悪だ」と言う総理大臣のせいで物価だけはどんどん上がっている。従って生活は徐々に縮小している。これではかつての「大本営発表」と同じである。太平洋戦争中に日本軍がボロクソに負けている時でも「勝った!勝った!」と嘘のニュースを流し続けた。

「大本営」は日本軍の最高意思決定機関で旧日本軍の総司令部だった。今では「大本営発表」といえば分かっているのに自分に都合のいい嘘の情報を流し続けることを揶揄する慣用句として使われている。

月例経済報告だけではなく国会審議の中でも総理大臣をはじめとする国務大臣や官房長官、与野党の国会議員は自分に都合のいいことだけを取り上げて、自分に都合の悪いことには触れないという態度を続けている。それに対して野党も通り一遍の追求はするが与党に過半数を握られている以上全く決定力がない。与党に強行採決をされてしまえば「ハイそれまでよ」である。

「今の野党に政権は任せられない」と多くの人が言う。はっきり言ってボクもそう思う。だがそれと与党独裁は別の話だ。与党に過半数を与えては絶対にいけない。過半数を握っていれば結局のところ話し合いなど必要ない。強行採決で自分の考えを強引に押し切ることができる。過半数を持っていなければどこかで妥協したり折衷案を出したりして相手に譲歩してもらう必要がある。そのためには必ず話し合いが必要になる。

だから普段の国会ではやりたい放題の安倍内閣も憲法改正議論には及び腰だ。口では「必ずオレがやる」と言っていながら野党にも国民にもゴマを擦ることを忘れない。憲法改正には衆参両院でそれぞれに総国会議員数の2/3以上の賛成が必要な上に国民投票までやらなければいけない。そのためには強引なやり方をすれば必ず反発を受けて失敗することがわかっているからだ。

政権は今の与党のままでもいいのでもっと他の政党の影響力を強くしていつまでもジャイアンのいいなりになるような政治をやめさせなければいけない。「決められる政治」は確かに好き勝手に政権運営をしたい政権与党にとっては魅力だが、そんな「独裁で決めてしまう政治」をいつまで許しているのだろうか。それをクーデターなどではなく合法的に可能なのは国民が参加する選挙によってだけだ。

ボクは今の野党に政権を任せてはいけないと思うが選挙の時には必ず野党に投票している。なんだかんだ言ってもかつて自民党の大物が大声で言っていたように「選挙は数が勝負」なのだ。議員個人のマニフェストなど二の次だ。国会採決の際に造反者はほとんど出ないのが通例になっている。結局のところは数だけで決まっている。だからこそ絶対に与党に過半数を持たせてはいけないのだ。今こそ「決められない政治」「議論する国会」に戻さなければいけない。それができるのは我々国民だけだ。

「議会制民主主義」とはみんなで話し合って決める政治のことだ。話し合わないで勝手に決めてしまうのを「独裁政治」と言う。私たちは何を望んでいるのだろう。