千葉県袖ヶ浦市にある東京ドイツ村をご存知だろうか? ”千葉県”にある”東京”・”ドイツ”村だ。どんだけ引っ掻き回してるんだという感じがしないでもないが、東京ディズニーランドだって千葉県にあることで開園当時は散々揶揄されたことだし千葉県に関しては一応禊(みそぎ)は済んだと考えてもいいのだろうか。まぁどうでもいいことなのだが今度は茨城にある東京北空港である(笑)

元は航空自衛隊の百里基地にある百里空港を民間と共用することで開放し、”通称”茨城空港(正式名称:百里飛行場)と呼ばれている施設である。東日本大震災の時にはロビーの天井にある石膏ボードが崩落してニュースでも散々映像が使われて有名になった空港だ。この空港の名前を「東京北空港」にしようではないかという提案が茨城県議会で議論されているらしい。

東京と名前のつく空港は羽田の「東京国際空港」と現在は成田空港に名前を変えたかつての「新東京国際空港」がある。成田空港の時も「東京から遠すぎる」と外国人が腹を立てたほど東京から離れている。ボクは神奈川の南西部に住んでいるのだが海外に行こうとして国際線を使うときには3時間以上もかけて成田まで向かう。もともと関東にはジェットが飛べる民間の空港が少ない。

東京都には米軍の横田基地があり神奈川県には厚木基地があるがどちらも長い間、米軍と自衛隊だけが占有している。他にも小型機だけが使える民間の空港はいくつかあるがどれも都市部からは離れていて公共交通機関としてはとても一般的とは言えない。それが茨城県は「高速道路を使っても東京まで遠すぎるから茨城に空港を!」と陳情して百里基地を開放させた。それが今になって「やっぱり茨城は東京だ」と言い出したのだから失笑を禁じ得ない。

どうせ名前を変えるなら「北関東空港」にしたらどうだろう?「東京北」ではあまりにも東京に媚びているようでいささかカッコが悪い。それにかつて横浜市営地下鉄が伸延したとき新横浜駅の隣に「新横浜北」という駅ができたのだが、いつまで経っても乗客が新横浜駅と間違えて畑の真ん中にある「新横浜北駅」で降りてので間違えにくいように「北新横浜」という駅名に変更したほどである。最後に”北”を付けただけでは最後までちゃんと聞いていない人は間違える。大事なことは最初に明らかにしておいたほうが誤解は少ない。

それにしても水戸よりはるかに北にある茨城空港を「東京」だと名乗ろうというのはどういう精神構造なのだろうか。もしかしたら全国魅力度ランキング7年連続10度目の最下位になった茨城県は地域の誇りも捨てたのかもしれない。

かつては美人が多いことでその名を馳せた常陸国(ひたちのくに)は、往年の殿様だった佐竹氏が秋田県に国替えさせられたときに美人も一緒に全部連れて行ってしまいブスだけが残ったという都市伝説もあって仙台、名古屋とともに日本三大ブス県としてその名を全国に轟かせている。だが彼の地の名誉のために言っておくが仙台には美人が多かった(と思う)。名古屋はちょっとわからない。水戸は…個人の好みによると思う。

今日本各地では村おこしの一環として地元ブランドの確立をすることで地方創生に力を入れている。ボクが住む神奈川県でも「相模豚」や「やまゆりポーク」(やまゆりは神奈川県の花)、「湘南ゴールド」(みかん)などのブランドを売り出している。茨城県はそんな各地の動きとは全く逆行しているように見える。沖縄では島らっきょ、島とうがらしとなんでも”島”を付けたり琉球アグー豚などをブランド化している。

では茨城には何もないのかと言えば全国一の出荷量を誇るメロンや黄門様の故郷の水戸納豆、あんこう鍋など食べ物もさることながら鹿嶋市には出雲大社の次くらいに歴史のある「鹿島神宮」がある。鹿島の神である武甕槌大神(たけみかづちのおおかみ)はこの鹿嶋の地から神鹿に乗って奈良の春日大社まで飛んで行って迎えられたのであって、奈良公園の鹿は鹿嶋の鹿の末裔だとも言われている。それくらい歴史のある素晴らしいところだ。

しかし実際に鹿島神宮を訪れると境内やお社は誠に立派なのに奈良などと比べるといかにも活気がない。せいぜい参道近くに数件の蕎麦屋があるばかりである。なんともアピールの仕方が下手くそなのだ。こんなところが魅力度ランキング最下位になってしまう要因なのではないだろうか。

そもそも地域の魅力ってなんだろう? おそらくは他の土地から見て「いいなぁ」と思われることが魅力になるのであって、ずっとその土地に住んでいるものにはわからないものなのではないかと思う。

ボクの住んでいる神奈川には県外から湘南の海や古都鎌倉、箱根温泉などにたくさんの人がやってくるがボク自身は神奈川の魅力がよくわからない。生まれた時から海はそこにあったがその頃の湘南海岸は大腸菌の濃度がとても高くて「日本一汚い海水浴場」と言われていた。最近では「生しらす」を求めてやってくる人も多いが、しらすは日本全国どこでも獲れるのにどうして腰越漁港のものばかりがありがたがられるのかわからない。三浦・三崎にはマグロ漁船の基地があるが三崎のマグロは100%冷凍の遠洋マグロだから解凍さえうまくできればどこで食べても同じである。箱根温泉は湧出量も減って温泉の魅力自体は大したことはないしそもそも芦ノ湖畔からは雄大な富士山の姿などほとんど見えない立地だ。それでも毎日たくさんの観光客がやってくるのは彼らが「いいなぁ」と思う何かがあるからなんだと思う。でも今のボクにはその魅力がわからないでいる。