聞いた話だが、フィットネスクラブをやめていく人たちの一番の理由は「時間がない」ことなのだという。「ダイエットしよう!」とか「体を鍛えよう!」「運動不足を解消しよう!」などと思ってフィットネスクラブの扉を叩く人は多い。しかしその半数以上は3ヶ月ほどで退会してしまうのだという。その理由を聞いてみると「忙しくてジムに通う時間がない」からなんだそうだ。時間がないからジムに通えない、本人がそう言うならそうなんだろう。でもそうだろうか?本当の理由は別のところにあるんじゃないだろうか?

お恥ずかしい話だがボクも過去に半年ほどでフィットネスクラブを退会した経験がある。その時も退会の理由には「時間がない」という項目に○をした。本当に時間がなかったのかといえば、確かに職場の異動で通勤時間が片道3時間にもなってしまい定時に仕事を終えても最寄りの駅までたどり着いた頃には夜の9時を過ぎてしまう生活だった。だからといってまったく時間がなかったのかと言えば、家に帰ってご飯を食べたりテレビのニュースを見たりする時間はあったのだからひと頃の生活に比べれば時間の余裕はあった。

でもボクはジムで運動するよりも家に帰ってご飯を食べたり少しでも睡眠時間を長くすることの方を優先したわけだ。かつては早朝から翌朝の4時頃まで働いた後タクシーで家に戻ってシャワーを浴びてから1〜2時間ほど仮眠をとったら電車に乗って出勤するという生活を1年ほどしていたことがあった。それに比べれば圧倒的に生活は楽で余裕もあったはずなのだが、人間は楽な方には簡単に流されるのである。

「忙しくてやるヒマがない」という言い訳はつまりは、「やる気がない」ということだ。そう言う人ほどスマホゲームをしたりSNSをやる時間はあるのにジムに行ったり勉強する時間はないと言う。それはゲームやSNSよりも優先順位が低いからだ。つまり「(ゲームやSNSよりも)やる気がない」ということに他ならない。もっともジムに通うことも余暇の過ごし方の一つだからヤル気がないことを咎め立てされる筋合いのものではない。やらなくたって誰に迷惑がかかるものでもない。

会員の定着率が低いことに悩んだフィットネスクラブでは最近、24時間制のジムを増やしているのだという。「時間がない」ということはすべてにおいて時間がないということを意味していない。自分の生活スタイルと照らし合わせて都合のいい時間とジムの開いている時間が合わないという人が多いのだという。誰でも一度固定してしまった自分の生活スタイルを乱されるのは嫌である。自分がヒマをもてあましている時に気晴らしに運動するのなら抵抗は少ない。少なくとも部屋の中でスマホゲームをしているよりは健康的だ(と思う)。

そのジムは郊外の住宅地の中に開業するケースが多いらしい。もちろん夜間はトレーナーなどおらず自分のペースで黙々と運動するだけなのだが、それが自分の生活のペースの中には取り入れやすいといい人気が出ているのだという。

中にはジムで体を鍛えることを何よりも優先している人だっている。筋肉がモリモリと盛り上がってくることに喜びを感じて「筋肉は裏切らないよなぁ」などと悦に入っている人もいることだろう。ジムを辞めてしまう人と何が違うのかといえば「やりたいことの優先順位」だけである。

余暇の過ごし方に優劣などない。自分がやりたいことをすればいいのだ。だから「時間がない」などと後ろめたい思いをしながら言い訳をする必要などないと思うのだ。違うだろうか?