企業や政治家、公務員の謝罪会見などで一見正直に告白しているようにみえる場面が報道されることがある。「私は過去に悪い人から政治献金をもらったことがありました。調べてみたらわかりました」などと言っている。それを聞いた人は「潔い人だなぁ」と思ったりする。でもボクはそれを額面通りには受け取れない。もしかしたらそれ以外の巨悪から目を逸らすために正直なフリをしているのではないかと思ってしまうからだ。

あなたのことをほとんど何も知らない人に「先週、上野の美術館にルノアールを観に行きましてね」と話してみる。相手はあなたのことを知らないから、あなたにとって”美術館に行ったこと”はとても重大な出来事だったのだなぁと思う。他にも色々な出来事があったはずなのに美術館に行ったことを優先して話したからだ。「息子が大学に合格したこと」や「身内に不幸があったこと」が自分の中ではもっと重大な出来事だったとしても、相手に言わなければそんなことがあったことすらわからない。その相手は他の人にも「あの方は絵がお好きなんですよね」とだけ話すに違いない。

相手が自分のことをあまりよく知らないならほんの少しだけ本当の重要でない情報を漏らしてみるといい。相手の人はその情報しか知らないのだからそのことだけに人の目は引きつけられる。そうするとあなたのことを「そういう人間なんだ」と思い込み、他のことを見なくなる。たとえルノアールよりもパチンコ・競輪・競艇のようなギャンブルに狂っていたとしてもだ。

政治家が汚職事件を起こしたとき、メーカーがトラブルを起こしたとき、東京電力が原発事故を起こしたとき、最初から最後までシラばっくれて誤魔化し通すのかと思いきや些細なことだけには謝罪した。するとどんなに卑怯な相手でも「ちょっとは誠意もあるんだな」と思ってしまいがちだ。しかしそれはたぶん誠意ではない。打算だ。

大きな問題には触れないでほんの些細なことだけをリークしたり謝罪したりする。すると世間は「それが真相だったのか」と納得してあえてその先を追求しなくなるか追求が甘くなる。それが奴らの狙いだ。