「湘南爆走族」というマンガをご存知でしょうか?
茅ヶ崎・辻堂・江ノ島・鎌倉・逗子あたりを舞台にした暴走族たちを主人公にした昭和のコメディーマンガです。一頃は映画にもなったらしく俳優の江口洋介さんはこの映画でデビューしたような気がします。だって映画の主人公の名前をそのまま芸名にしちゃったんですから。

ボクの実家は神奈川県の横須賀市にあります。横須賀市は三浦半島の中央部にあり北は横浜市、北西部は葉山町や逗子と隣接しておりその先はいわゆる”湘南”の本場・鎌倉や江ノ島という立地です。3方向を海に囲まれているため横須賀を出てどこかに行くためには横浜か湘南を通過していけなければいけません。それが横須賀市民にとっては昔からの問題でした。

ボクは現在は平塚というところに住んでいます。サザンオールスターズや加山雄三を輩出した茅ヶ崎市の西隣り、吉田茂元首相の別荘があった大磯町との間です。余談ですが平塚の有名人といえば山瀬まみと演歌歌手の大門三郎です。あと代議士の河野太郎くらいでしょうか。

茅ヶ崎の東側には鵠沼海岸、江ノ島、稲村ガ崎、七里ガ浜、鎌倉、材木座、逗子といった名だたる湘南のスターたちが勢揃いしており、実家のある横須賀に行くためにはこのオールスター街道のど真ん中を突っ切っていかなければなりません。夏ともなれば東京はもちろんのこと埼玉、群馬、千葉、茨城、山梨、遠くは長野からも海水浴客が大挙してやってくるために道は大渋滞して全く使い物にならなくなります。ところが昨今では圏央道の開通もあって夏に限らず週末はオールシーズンで混雑するようになってしまいました。

訳あってボクはちょっと前から平塚から実家のある横須賀に頻繁に行かなければならない事情ができました。しかしそのためには毎回、湘南の大渋滞の中をくぐり抜けなくてはいけないのです。迂回しようとすれば横浜を経由せざるを得ないため普通なら40キロの距離が高速道路を使って70キロ以上にもなります。

西湘地区と呼ばれる大磯から小田原にかけての砂浜には悪名高き「西湘バイパス」という有料道路がドカンと出来上がり、かつては風光明媚だった海岸線もその面影すらなくなりました。各方面から自然破壊だなんだと非難を浴び続けている西湘バイパスですが地元に住む者にとってはなくてはならない交通の大動脈になっています。数年前から台風のたびに道路が崩壊してしまい常に工事中の状況が続いているので車線規制などで渋滞も起きていますが、並行する国道1号線も常に激しく渋滞していますから我慢せざるを得ません。それでも相模湾の中央部から西側へは20分もあれば箱根の近くまで行けるのですが、反対の東側に向かった途端、延々と続く湘南の大渋滞に巻き込まれて横須賀にたどり着くのに3時間もかかってしまうのです。

確かに逗子や鎌倉から見る風景は、特に夕方になれば富士山を背景に相模湾に浮かぶ江ノ島の景色は絶景といってもいいでしょう。天気のいい日には砂浜にも大勢の人が写真を撮りにやってきます。みんながそれを目指してくる気持ちもわからないではありません。しかし、しかしです。毎年のように酷くなる車や観光客の群れを見るにつけ、「景観なんてどうなっても良いから西湘バイパスを延長して江ノ島も鎌倉のビーチもズタズタにするような有料道路を作ってしまえば何の魅力もなくなって誰も寄り付かなくなるのになぁなどと不謹慎なことを考えてしまうのでした。