先日、沖縄のシンボルの一つでもあった首里城が大火災でほとんどすべてが燃え落ちてしまった。首里城跡の石垣などは世界遺産にも登録されている。500年ほど前に作られたという首里城は太平洋戦争の沖縄戦で消失してしまったが、30年ほど前から復元工事を始め、今年の1月にようやく完成した矢先のことである。この家事でメインの建物でもある正殿は跡形もなく燃え落ちた。

沖縄の世界遺産は「琉球王国のグスク及び関連遺産群」で那覇市周辺にある琉球王国時代の城跡群を指している。ボクはほぼ年に1度は沖縄を訪れており、以前、沖縄に住む友人に沖縄本島東岸にある勝連城などを案内してもらったこともある。こちらは首里城とは違って観光客も少なく建物も復元されてはいないが高台から望む太平洋の絶景は息を飲むほどのものがある。

首里城はかつてそこにあった建物などの資料を研究者が30年以上もかけて調べ、今までやったこともないような技術を使って沖縄の職人たちが作り上げた貴重な琉球王国の歴史資料の集大成だった。実は復元工事が終わったというのでボクも今年の9月に訪れたばかりだった。前回、10年ほど前に行った時にはまだ出来上がっていなかった正殿裏の建物や展望台もすっかり出来上がっていて、台風が近づく暴風雨のあいにくの天気ではあったが3時間ほどもかけて建物の内外を巡ることができたのはある意味では一期一会だったような気がするが、これからの復元作業も精一杯応援していきたいと思っている。

30年かけて作り上げた建物だが燃えてなくなる時は一瞬である。人の信用も同じだ。それを築くためには果てしない時間と努力が必要になるが崩れ落ちるのは一瞬だ。どれだけ苦労して作り上げてもほんのちょっとした失敗やインチキ、感情のすれ違いで水泡に帰してしまう。守るためには不断の努力が必要だが守ることによるメリットを普段感じることは少ない。しかし一度それが失われてしまうとその大きさに打ちひしがれてしまうのだ。

信用とは自分が気づかない時には空気や水のようなものかもしれない。あって当たり前だと思っているがなくなった途端にそのかけがえのなさに気づくのだ。しかし無くなってからでは手遅れだ。それをもう一度つくり上げるためには果てしない努力と時間が必要になる。燃えて崩れ落ちていく首里城の映像を見ながらそんなことを思った。