11/4「教科書が読めない子供たち(1)」から続く)

それでもそれ以外のAI技術を駆使することで「意味は理解できなくてもある程度は正解を出せる」ところまでは研究が進んでいるといいます。東大は無理でも MARCH(明治、青学、立教、中央、法政)や関関同立(関学、関西学院、同志社、立命館)には十分合格できるレベルにまでは到達したというのです。

これらの学校より偏差値が上の学校に合格できる人は受験生全体の20%と言われています。その学校に合格できるだけの実力をいまのAIは手にしているということです。言い換えれば、これらの大学には文章の意味が理解できなくても過去問や学習ドリルをやることで合格できてしまうということであり、その人のやっている仕事はAIにとってかわられる可能性が高いわけです。現在ホワイトカラーと呼ばれる人たちはその多くが大学を出ています。しかし残りの8割の人たちの仕事は近い将来AIに奪われてしまうというのです。ホワイトカラーの80%の仕事がなくなる、そしてその人たちは「AIにはできない仕事」を求めて社会をさまよう。しかしAIにできない仕事を担える人材はごく限られているという事態はすぐそこまで迫っているわけです。

子供どころか大人の3割も簡単な日本語の文章が理解できないのだといいます。いわゆる発達障害とかそういう話ではありません。全国2万5千人の小中高生と官僚、一流企業といわれる会社の従業員を対象にした基礎読解力のテストの結果です。その読解力とは国語のテストによくある「この時の作者の気持ちはどうだったのか?」というような深く読み込んで考えて推測しなければ解答できないような問題ではありません。その例題がありますのでご紹介しましょう。

次の文を読みなさい。

「仏教は東南アジア、東アジアに、キリスト教はヨーロッパ、南北アメリカ、オセアニアに、イスラム教は北アフリカ、西アジア、中央アジア、東南アジアにおもに広がっている。」

この文脈において、以下の文中の空欄に当てはまる最も適当なものを選択肢のうちから1つ選びなさい。

 「オセアニアに広がっているのは(   )である。」

 ① ヒンドゥー教
 ② キリスト教
 ③ イスラム教
 ④ 仏教

「基礎的読解力調査(RST)」の例題より

というような問題です。
特に考えるところや知識も必要なく問題文が理解できれば誰でも答えられる問題です。ところがこの問題の正答率が中学生の全国平均で62%、高校生でも72%だというのです。「いや6割から7割が正解できているならいいんじゃないの?」と思いますか?この問題ならほぼ100%の子供が正解できてアタリマエだと思っていました。しかもここで選ばれた中学や高校は教育レベルも高く高校などは進学率100%の学校です。つまりこの程度の問題文が近い出来なくても大学に進学できるということに他なりません。そしてなんと大人の30%です。高校生のレベルからほとんど進歩していないということです。

かつて高校生だった頃、予備校の夏期講習では「問題を読まなくても答えがわかるようにならなければダメだ」と言われたことを思い出します。AIは問題を理解できなくても答えられます。設問のなかに出てくる単語の出現回数と設問の単語を比べて一致する確率が高ければそれを正解とするというようなロジックを使っているからです。問題を読まなくても正解が分かるということは設問と答えを暗記しているからにすぎません。それを受験の専門家は推奨しているのです。AIと同じことができたところでその人間はAIに置き換えられるだけです。そんな能力ばかりを身に付けてもあなたの仕事は確実にAIに乗っ取られると結論付けているのです。

あなたはどう思われましたか?