先日読んだ本の中に「ふざけるのもいい加減にしてはいけません」という言葉が引用されていた。かつてフジテレビが放送していたテレビ局のCMなんだそうだ。

人間、ふざけるときはちゃんとふざけることが大切だという。ちゃんとふざけることもできなければ日常的なこともちゃんとできないというのだ。特にうそ八百が芸風のテレビや広告の世界で「ふざけるのもいい加減にしろ」などという投げやりな態度では面白いものなどできるはずがない。 「生活者の立場に立って」などと大真面目な顔で言っているような番組や広告など信用に値しない。政治家の選挙演説か国会答弁と一緒である。

近年、そんな一所懸命にふざけた広告がほとんど見られなくなってしまったのは実に寂しい。ちゃんとふざけるのには実に力がいる。時を見る機微と、知恵と、深い知識と、ウィットを巧妙に組み合わせていった結果、ようやくちゃんとふざけた番組や広告になるのだ。ダジャレやバカ笑いだけが空回りする中に真実などあろうはずもないが、周りを見渡せばテレビやマスコミにはそんなものばかりが蔓延している。

アタリマエのことを正面切って大声で叫ぶやつなど信用できるものか。それはアタマの悪いツマラナいヤツのやることだ。アタリマエを普通の人が見ない角度で切り取ってアタリマエではない何かを見せることがエンターテイメントの源泉なのだと思っている。それをいつまでもお笑い芸人だけに頼り切っているテレビ界に未来はあるのだろうか。