JR東海のCMには素晴らしいものがたくさんあった。中でも「シンデレラエクスプレス」や「クリスマスエクスプレス」のシリーズは甘酸っぱい思い出を彷彿とさせる。また業種は違うが、サントリーオールドや角瓶のCMも好きだった。大原麗子さんの「少し愛して、長ーく愛して」というセリフには心動かされた男性諸氏も多かったのではないだろうか。

個人的には國村隼氏の演ずるサントリーオールドのCMと若き日の牧瀬里穂さんが演じるクリスマスエクスプレスが好きだった。

彼女の父親のところに初めて挨拶に行く若い男。
永遠に続くかのように思われる無言の時間。ちゃぶ台の前から急に席を立って部屋を出て行く父親とその後を追う娘。残された男の居た堪れないような心のうちは経験したことのある男にしかわからない。

台所の戸棚から二つのグラスとオールドの瓶を取り出しながら「残念だな…」という父親の言葉に涙ぐむ娘。続けて「嫌な奴なら一発殴れたのにな」と父親。泣き笑いの笑顔でグラスを持って彼のもとに走る娘。そしてオールドのボトルをテーブルに置く父。これも経験したことのある父親や娘でなければわからないものだろう。

シンデレラエクスプレスやクリスマスエクスプレスも遠距離恋愛の経験がなければ実感するのは難しいに違いない。今のようにインターネットもない時代には高額な遠距離電話もそうそう掛けられるわけでもなく、年に数回だけの逢瀬は来る日も来る日も指折り数えるものだ。

「距離に試されて二人は強くなる」

そんな姿を全身で力一杯演じていた牧瀬さんの姿は未だに頭から離れることはない。
恋は遠い日の花火ではない。それにしても可愛かったなぁ。