「タダより高い物はない」とはよく言われる。タダだと思っていると思わぬところで苦労させられたり余計なお金が掛かったりする。しかもその苦労は報われないことが多い。だから意地汚く”タダ”のものを探し回って得をしようとしていると却って結果的には損をすることになってしまうという戒めだ。しかし我々凡人はやっぱりタダが好きだ。「無料!」、なんと素晴らしい響きだろう。食べなきゃ損よ、やらなきゃ損よ、貰わなきゃ損よ、だってタダなのよぉ~。

ご多分に漏れずボクも”タダ”が大好きだ。しかし最近はちょっと立ち止まって考えることもある。試食無料、食べ放題・飲み放題、以前なら飛びついていたが最近ではいくらタダでも不味いものを食べさせられたら損だと思うようになった。不味いものはタダでも食べたくないと思うようになった。 学生時代ならいざ知らずそんなもので胃袋を満たしてしまっては損だと思うようになった。「無料プレゼント」と言われても自分が欲しくもないものは置いておくにも邪魔なだけだ。そんなもので身の回りを汚したくない。使わないものならいずれはゴミになるだけだ。処分するのに余計な手間のかかるものなら最初から貰わない方が賢明だ。

でも考えることはタダだ。考えることは無駄に胃袋を満たしてしまうこともなく、無駄にスペースを食ってしまうこともない。どこかのクレジットカードの宣伝ではないが「モノより思い出」といったところだろう。旅行に行って誰かにお土産を買ってくるのは素敵なことかもしれない。でもそれは貰う側にしてみれば別に欲しかったものではないかもしれない。いや欲しくもなかったものの場合の方がかえって多いかもしれない。だからせめて食べてしまえばなくなるような当たり障りのない観光名所の名前がプリントされたお菓子が重宝するわけだ。それが証拠にプリントされた名前だけが違う同じ種類のお菓子が全国の観光地で売られている。

頭を使うことは一番安上がりなエクササイズであり”無料”の弊害も少ない。結果として”下手な考え”ならすぐに忘れてしまえば済むことだし、何の考えも浮かばなかったとしても取り立てて損をすることもない。強いて言えば考えている時間が無駄になることはあるだろうが、もともと無駄に浪費している時間を使って考えるならエコの一つになるだろう。

そして何より考えることは脳を活性化させる。ボケ防止の効果は最低ラインとしても、日頃から好奇心を持って考えるということをしていると新しいアイデアが湧き上がってくることも多くなるだろう。その一つ一つは取るに足らないことだったとしても、それらのアイデアがお互いに共鳴しあうときに自分にとって画期的なものが生まれるかもしれない。そしてそれはすべてタダなのだ。