戦争がなくなって平和な時代が続くと文化も文明も経済も発展する。戦争のような非生産的な、いや破壊的な行動をしなくなれば、人は幸せになれることに向かってエネルギーを注ぐことになる。

日本でも戦国時代が終わって江戸時代になり、平和な時期が260年も続いたから江戸文化が大きく花開いた。幕末から明治維新にかけて再び動乱の時代になったが西洋からの大きな力による圧力もあって比較的短期間に穏やかな時代に戻った。明治末期の数年と昭和初期から太平洋戦争の終結までの間は日本にとって未曽有の危機的状況に陥った。そのほとんどは経済発展と国際的な地位を性急に求めるあまりの帝国主義と侵略戦争によるところが大きい。

しかし戦後の日本は奇跡的な回復を成し遂げた。その間に朝鮮戦争はあったが幸いなことに日本はその直接的な当事者となることなく、戦禍を受けることもなかった。そしてその後70年以上にわたって戦争の当事国になることを避けることができた。

太平洋戦争が終わって長きにわたって平和が続いたおかげで驚異的な高度経済成長が可能になった。その間、アメリカ然り、ソ連然り、インド然り、イギリス然り、他のほとんどの国は常にどこかで戦争をしていた。日本が平和を享受している間に戦争で文化も文明も人命も人心も常に消耗していた。日本では国内での小競り合いはあったものの国家が滅びてしまうほどの動乱は起こらなかった。

一方で平和で争いのない時代が長く続くと”平和状態”に慣れてしまうのだが、そんな刺激のない世界に不満を抱える人間も現れる。平和な社会を意味もなく破壊してみたくなったり、自分の周りの社会を乱暴に掻きまわして意のままに操ってやろうという欲望だ。そしてそれは多くの場合、男が持つ独特の感情である。もしかしたらそんな男の習性が世界から戦争をなくさないのかもしれない。

ここ数十年の間、中東では紛争が絶えない。その大きな原因を作ったのはイギリスである。かつて中東の仲の悪い国の双方を騙して争いをけしかけ、最後に利権だけ自分が横取りするような卑劣なことをやらかした。それがきっかけでアラブに新興国家のイスラエルを作ってしまった。中東紛争はイギリスとアメリカが作った。今ではそこに武器を売って大儲けしているのがアメリカの正体だ。映画では「アラビアのロレンス」は英雄だが、歴史的事実は大悪党だ。

戦争や争いがいかに無駄なことかは過去数千年の歴史が証明している。ソ連や中国をはじめとして戦争をしているうちに体制が崩壊してしまった国々のなんと多いことか。チェコやクロアチアなどの東欧ではこの50年の間に世界地図がすっかり塗り替えられてしまった。

アメリカは自分の国内では戦争をせず、世界中に出掛けていって戦争を仕掛けている。世界中で戦争を起こして自分の国から武器を輸出して経済を発展させるという卑劣な経済モデルを作って生き延びている。他の国の人々の生き血を吸って生きながらえているようなものだ。

そんな吸血鬼のように世界中からすべてを吸い取って生き延びてきた国に、今更「貿易不均衡だ」などと言われる筋合いはない。それでいて自分の国だけが儲かればいいと思っている。世界中の国に頭を下げて詫びるべきはアメリカとイギリスに他ならないのだ。