最近、人手不足だとあちこちで言われている。ボクが小学生の頃、実家の近くの防波堤によく釣りに行っていた。高度成長期のあの頃もそこかしこで人手不足だといわれていた。それでもボクの釣り竿にはしょっちゅうヒトデが掛かった。ヒトデ不足なんてウソだ、と思った。

ただ頭数を揃えるだけなら簡単なことだ。誰でもいいなら適材適所を考える必要がないからだ。その代わり目的が達成される可能性は低い。その人にとってできないことや苦手なこと、初めて体験することを無理にやらせようとすれば当然効率は低くなる。それだけならまだしも自分に適さない作業を強要されればモチベーションは上がらず、悪くすれば辞めて去ってしまうかもしれない。それでも頭数だけ集めて帳尻を合わせようとする人は存在する。企業の中間管理職には特に多い。帳尻さえ合わせておけば自分の上司から叱責される事態から回避する言い訳になる。

必要なのは人員ではない、人材だ。今は人手不足だと騒がれているが、必要なのは本当に単なる人手なのか。それは猫の手でもいいのかということだ。そこで帳尻だけを合わせようとすれば目的を達成するどころかせっかく築いてきた組織さえ崩壊させてしまいかねない。

「企業は人なり」と昔の立派な経営者は言った。しかし今の時代を見ると、人を”経費”としか考えない経営者が世に蔓延っているように見えて仕方がない。それは中小企業に限らず大企業にも散見される。「働き方改革」という名のもとに経費を削減し、労働者の暮らしが顧みられることは少ない。こんな社会で”人生100年”を生きていかなければならないのかと思うと暗澹たる気分になる。