横断歩道で信号待ちをしている人がいる。前に待っている人がいると次の人は最前列まで進んで隣に並んで待つ。次第に人が増えてくると横断歩道の幅いっぱいに人の壁が立ちはだかる。自転車を押しのけて最前列まで出て待つ人もいる。青信号になれば自転車の方が進むのが早いのだから、自転車の後ろで待っていてもなんら問題はないのにそれでも一番前がいいのだ。人の心理とはそういうものらしい。足が弱って歩くのが遅い高齢者でも同じだ。

横断歩道の幅に並びきれなかった人は2列目3列目で待っている。信号が青になると、歩くのが早い人は遅い人を追い越して行く。横断歩道の反対側からも同じように幅いっぱいに広がって人や自転車がこちらに向かってくる。道路の真ん中で二つの人の波は交錯する。追い越す人、追い越される人、こちらに向かってくる人、避ける人、避けない人…。

文字通りヒューマンスクランブルだ。お互いにわけがわからない。それでも人は最前列に並ぼうとする。人の心理は不思議なものだ。