「若い時の苦労は買ってでもしろ」と言われていた。でも若い頃には「苦労しないで済むのならしない方がいいに決まってるじゃん」と思っていた。それでも好むと好まざるにかかわらず、それなりにいつも苦労は絶えなかったような気がする。それはとるに足らないほんの小さな苦労のこともあったし、夜も眠れないような大きな苦労の時もあった。

今にしてあらためて考えてみると、あの時にした苦労を、自分だけの力ではないにせよ、何とか乗り越えようとしたことが、いろいろな考えや工夫を導き出すきっかけになったのかもしれない。ノホホンと過ごしてばかりいたらきっと向上心など生まれないし育たなかったのではないかと思う。目の前に立ちはだかる壁を乗り越えなければならない時、「何とかしなきゃ」を苦労して解決することで人は成長するのではないだろうか。

壁がなければ上ることもできないし、壁の向こう側にある景色を初めて見た時の感激もなかったのではないかと思う。だから今になって思うのだ。若い時だけでなく、死ぬまで苦労は買ってでもしろ、と。