としまえん

とりすは子供の頃からテレビの面白いコマーシャルが好きでした。多分、そのきっかけになったのは小学生の頃にテレビで偶然に見た「テレビCM大賞」みたいな番組です。お昼過ぎから夕方まで、日本はもとより世界中のテレビで放送しているCMばかりを、とにかく流し続けるわけです。CMなんてテレビ番組の本編からしたらジャマなものですから本来はそれだけを観るっていうのもちょっとオタク的な番組だったんでしょう。放送していたのは東京12チャンネル(今のテレビ東京)(笑) あの放送局は昔から尖っていて、連合赤軍のあさま山荘事件の時も、NHK教育テレビ以外のすべての局が生中継をする中、のんびりとゴルフ中継をするような感じの放送局でした。とにかくその番組を観てから一気にコマーシャル熱が高まり、高校生の頃には広告評論家の天野祐吉さんが編集長をなさっていた「広告批評」という雑誌まで定期購読しておりました。

でもテレビCMって、御存知の通り、その殆どが見る価値ないほどつまらないんです。白い犬や三太郎が出てくる携帯会社のCMのようにシリーズ物でストーリーがあると、ちょっと騙されて見てしまいますが、単発系はただ商品名を連呼するばかりで全然心に響かないんですよね。そんな中で印象に残っているのが「豊島園」のコマーシャルでした。「史上最低の遊園地」というキャッチコピーで話題になったこともありました。

地方から就職か進学で東京に出てきた姉のアパートの部屋で、その弟と思しきあか抜けない坊主頭の学生が部屋の畳の上にちょこんと座っている。折しも季節は夏休み。クーラーもなく開け放たれた部屋の窓からは遠く離れた遊園地の「フライングパイレーツ」(当時の最強の絶叫マシンと言われていた)と悲鳴が聞こえ、蝉の声がそれをかき消すようにけたたましく響いている。することもなく部屋の中にけだるい雰囲気が流れる中、姉が面倒くさそうに弟に訊いた。「あんた、どこ行きたいの?」。弟は恥ずかしそうに小さな声で答える。「おだいば」(お台場は当時、東京で一番流行りの観光地だった)。

(画面はまったく変わることなく画面中央に「としまえん」の文字が現れる)

こういうシュールなコマーシャル、最近見ないなぁ。