急がせるくせにすぐやらない人

「ちょっと急いでるんだけど」と言われて頼まれた仕事。仕方がないので今やっている作業を中断して緊急対応することがある。それはサラリーマンであっても同じような場面は普通に見られる。当然のことだが今やっている作業にも期限があるのでそれまでには必ず終わらせなければいけないのだが、”今すぐに”という仕事が入ってくれば無理をしてでも納期が先の作業スケジュールを調整して”急ぎの仕事”を割り込ませることになる。何とか”急ぎの仕事”を終わらせて納品すると「ありがと」という素っ気ない返事。とにかく”急ぎ”には間に合ったようで安心して中断していた作業に戻ったものの、その”急ぎの仕事”は納品したまま寝かされていて一向に陽の目を見ない。結局、本来の自分の仕事が終わってからしばらく経ってからのらりくらりと動き出す。こんなことなら無理してスケジュール調整などする必要はなかったのだ。

他人を急かせてまでいかにも「自分は急いでます」という態度を見せるくせに、自分にボールが来てもまったく打ち返す気もなくいつまで経ってもやらない人は意外と多い。たぶんその仕事は”緊急”の仕事ではないのにその上の上司から「アレはできたか?」と督促されたときに「まだです」と答えて自分の評価が下がることを恐れるあまり、その仕事を丸投げした他人に「緊急だ」と言ってその結果を早く自分の手元に置いておきたいと思っているだけだ。その人の上司もそんな人に素早く仕事がこなせるわけがないことくらいは分かっているのでいつまで経っても「アレはできたか?」という質問もされない。仕舞にはそんな仕事を頼んだことさえ忘れてしまっていたりする。

一度計画したスケジュールを変更して他の仕事を割り込ませて緊急対応をするにはそれなりのコストが掛かる。クリーニングなどでも「特急料金」と聞くと「同じことを頼んでるのに早く終わらせるだけで高くなるのはおかしい」と文句を言う人がいる。別の仕事を急に割り込ませてスケジュールを組みなおすのにどれだけの手間と時間がかかるのかをまったく理解していない。普段自分がまともな仕事をしていないからわからないのだ。

随分前の話だが「私が頼む仕事は全部緊急です」と言い放った上司がいた。仕事に優先順位も付けられない人の仕事は常に緊急になる。なぜならどれから手を付けていいかが分からないから最初に片づけておくべきことを後回しにしてしまい、ニッチもサッチもいかなくなってから慌てて始めるから時間がないのだ。だから常に予防線を張って他人に丸投げするようになりそのすべてに「急ぎだから」と付け加えるようになる。頼まれる方もとんだトバッチリだ。そんな組織は常に効率が悪く生産性も低い。組織の構成員の能力が低いのではない。上司が無能なだけだ。

しかしそんな中間管理職はさらにその上の上司のご機嫌取りがうまい。その能力だけでヒエラルキーの階段を昇ってきたのだ。ただもっとも手に負えないのはそんな能力だけしかないということもわからずに「能力がある」と勘違いして職場の責任者に任命してしまう組織全体の風土である。部下の使い方が上手なわけでは決してない。逆に部下のパフォーマンスを削いでいる。仕事ができるわけでも決してない。すべての仕事は丸投げするので自分だけで仕事を終わらせられたことがない。仕事はまったくできないに等しい。昭和の時代も平成の時代になっても日本の企業の中間管理職というものはあまり変わらなかった。

自分でやれる仕事がないということはどこにいてもプロフェッショナルではない。だから定年してゴマすりが使えなくなると何の能力も発揮できない。昔なら定年して年金暮らしになれば仕事もしなくて済んだが今は人生100年時代だそうだ。「会社時代のスキルを活かして社会で活躍したい」などと言っている人はたくさんいるが、その人のどこにスキルがあるのかわからない人は多い。そんな人の老後は悲惨だ。今までの人生の中で優先順位を判断することもなく仕事を丸投げしてきた人に主体的に人生を楽しむことは難しいだろう。

かつてのそんな上司のいた会社とはとうの昔に縁を切って関係もなくなった。今のボクの周りには道理の分かっている素晴らしい人がたくさんいる。そんな環境を作れただけでもボクの人生の半分は成功したようなものだと思っている。

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