人はどうして死ぬのか

日本人の平均寿命は80~85年ほどだ。生まれてからそれくらいの時間が経てば半分くらいの人は死ぬということになる。地球上の生き物は生まれたらすべからく死ぬ。長寿の生き物はいくつかいるが死なない生き物は今のところ見つかっていない。「単細胞生物は無限に細胞分裂を繰り返すから死なない」という人もいるが、単細胞生物も元の細胞は分裂を繰り返すうちにやがて分裂しなくなり死ぬことが実験で確かめられている。人の体は複数の細胞の集まりだが、それぞれの細胞には分裂のタイマーが付いており分裂できる回数には限りがあることが分かっている。ではなぜ生き物の細胞にはタイマーが付いているのだろう。

言い方を変えれば生き物はなぜ自らの細胞にタイマーを付けたのだろう。地球が誕生して無機物から有機物ができて生き物が誕生して以来、それらは進化を続けてきた。その過程で「細胞には寿命を設ける」と決めたのだろう。それは恐らく生き物として種を持続していくために必要だったか有利に働いたからだろうと思っている。

地球上にいる生き物は細胞分裂をしたり有精や無精による生殖などによって自分の種を次の世代につなげている。哺乳類をはじめとした多細胞生物の中では生殖をすることによって細胞分裂タイマーはリセットされるらしい。だからこそそれぞれの生き物によって平均寿命というものがある。しかし「生き物に寿命があって必ず死ぬ」ということは何のために必要なのだろう。

世代交代しなければ古い遺伝子がいつまでも生き残ることになる。代替わりした新しい遺伝子にとって古い遺伝子は邪魔なのかもしれない。だから知識や経験だけを受け継げばそれで十分であり古い遺伝子を抹殺する必要があるのかもしれない。言ってみれば「老害」を防ぐために生き物が編み出した仕組みなのではないのだろうか。

一つには世代交代することによるメリットかもしれない。世代交代は古い遺伝子を捨てて新しい遺伝子を作ることだ。適者生存に代表される生物の進化はその中から生まれてきたと考えられている。しかし新しい個体に過去の経験や知識はない。それすらもリセットされてしまうからだ。だから人は学習する中で過去の知識を受け継いでいる。高齢者は知識や経験は豊富で比較的多くのことを知っている。一方で若者は経験や知識は少ないが新しいものを受け入れる柔軟さを持っている。世代交代することで経験をや知識を受け継ぎながら古い遺伝子を捨て、新しい知見を受け入れることが進化にとって必要だったのではないだろうか。だから高齢者がそれを次の世代に引き継ぐことは人に与えられた生き物としての使命ともいえるような気がしている。

「老いては子に従え」

いつまでも古い考えに固執して若い芽を摘み取ってはいけない。

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください