なぜ体脂肪率だけを話題にするのか

「とうとう体脂肪が7%になったぜ」とか「オレなんて6%台」などと自慢している中高年男子をよく見かける。ボクなんぞは25%もあるので逆にちょっと危険なレベルなのだがそんな話を聞いても特に羨ましいとは思わない。そんな人は得てしてしょっちゅう風邪をひいたり体調不良になっているからだ。

若い頃から中年にかけてはちょっと油断して暴飲暴食を繰り返すとあっという間に太ってブヨブヨになる。あわせて禁煙したりすれば体への負担が減って食欲も増えるのでより一層の注意が必要だ。かく言うボクも30代後半から40代の間に体重が10キロ以上も増えてしまった。とりわけ仕事が超絶に激務だったことにかこつけてロクに運動もしなかったのが致命傷だったのだと思う。

体重が増えたのにも参ったが一番深刻だったのは筋肉が落ちて走るにも事欠くようになってしまったことだ。当然のことだが筋肉が落ちれば運動するのも億劫になる。運動しないからまた筋肉が落ちるという悪循環に陥る。不思議なことに運動をしなくても自然にお腹だけは減り、仕事を言い訳にしてお酒もますます増えてくるのでインプットされるカロリーはすべて脂肪となりブヨブヨ度合いは加速度的に進化していく。

そんな状況を見た友人の内科医が「そんなにお腹が出てるんなら内臓脂肪だけでも見てやろうか」ということでエコー検査をしてくれた。しかしその結果を見た友人によれば「思ったほど内臓脂肪も皮下脂肪も付いてなかった」と言うのだ。恐らくはお腹周りの筋肉が少なくなって内蔵がせり出てくるのを押さえられなくなった結果なのではないかと言うのである。それに「最近は慢性的に腰も痛いんだ」と言うと即座に「ちょっと運動して筋肉を増やしたほうがいい」と言われた。

その日から毎日、ちょっとの時間だけ腹筋をやったりスクワットをやるようにした。いや一日にほんの10分程度だ。そんな生活を3ヶ月も続けたころふと気がついた。「そういえば最近は腰痛がなくなったな」と。一日に10分程度の運動で大した筋肉がつくとは思えないがそれ以前の生活で普通の生活が送りにくくなるほど筋肉を落としてしまっていたのかもしれないと思った。だからほんのちょっと運動しただけで目覚ましい効果を感じたのかもしれない。その後もちょっとトレーニングをサボるとテキメンに腰のあたりに鈍い痛みを感じるようになる。そんなときは毎日ほんのちょっとだけ腹筋とスクワットをするとたちどころに改善するので大変重宝している。

歳を取れば普通の人は運動量も減り自然に筋肉量が減るのだから、体脂肪率を減らすことだけを考えるのは片手落ちだ。もちろん成人病予防などを考えれば体脂肪率も適度な範囲内に収めておくことは大切だが、体脂肪率を落とせば落としただけ健康になれると勘違いしている人がいる。適度な脂肪があるということはそれだけ体にエネルギーの備蓄があるということだ。疲労などで体の抵抗力が落ちている時には体内にある程度のエネルギー備蓄があることが重要だ。日本のエネルギー政策と同じである。中東が不安定になって石油の輸入が止まるとたちどころに日本経済がガタガタになるようでは困る。そのためにはとりあえず急場を凌ぐだけの備蓄を持っておかなければいけない。

誰が言い始めたのかはわからないが、変なマーケティングのせいで日本人の健康は知らない間に損なわれている。太りすぎて脂肪でブヨブヨになってしまうのは論外だが体脂肪を落としすぎるのも危ないことなのだ。中途半端にやることは「いいかげん」と揶揄されることが多いが「良い加減」にしておくことは体にも経済にも大切なことだ。

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