AIとお笑い芸人

ここ数年「AIに仕事を奪われる」という話題があちこちで語られている。昭和から平成にかけては「ロボットに仕事を奪われる」が話題の中心だったので労働集約型のいわゆる単純労働に従事している人たちの問題だと思われていたが、今度は士業を含めた総合職までもがターゲットといわれているので心中穏やかでない人が多く世間で騒がれるのも無理はない。

昨今では自動運転車も現実化しつつありあらゆるものが機械化・コンピュータ化されようとしている。従来のコンピュータは人間が作ったプログラムに従って動くだけだったが、AIでは過去の実績や経験なども学習して新たなものを生み出す可能性がある、というより人が考え付かないような手法まで作り出している。いずれは自分の仕事が奪われて食べていくことができなくなるのではないかと戦々恐々とするのも当然だ。

そこで「AIに真似のできないことを仕事にしよう」などとあちこちで言われ始め、訳のわからない各種のスキルアップセミナーやビジネススクールが大盛況だ。
しかしAIに真似のできないことって何だろう。少し前なら”クリエイティブ”なことはAIには真似できないなどと言われていた。ところが最近ではAIなどに頼るまでもなく普通のコンピュータが作詞・作曲したり絵や小説を書くことくらいはできるようになっている。しかもそれは人間が頭を絞って考え出したものよりも人気が出たり多くの人に好まれるものになっていたりしている。

AIでなくても自動でコンピュータが人気が出そうな曲を作曲したり作詞したりするソフトはもうずいぶん前から世に出ているし、それで作詞作曲されたヒット曲だってあるくらいだ。

先日見ていたテレビ番組で「AIが仕事を奪っていく」というようなテーマでお笑い芸人が司会をしていた。一緒に出演していたアナウンサーは「お笑いはAIにはムリですね~」とおべんちゃらを言っていたがそんなことはない。今のお笑いの基本は会話のすれ違いでありピンボケをネタにしているものが主流だ。

一方でAIには人間の普通の自然な会話をさせるために学習させている。つまり普通で自然な会話とはどういうものなのかをAIはちゃんと知っているということだ。ボケやツッコミは自然な会話の中で”ちゃんとした受け答え”をわざとトンチンカンにしたものである。自然な受け答えをちょっと的外れにすることで簡単に作り出せるわけだ。しかも話題やボキャブラリーは人間の比ではない。その上、今は何がウケているのかもわかった上で変なプライドも持たない。たとえ作ったネタがウケなくても「これはウケなかった」というデータが蓄積されるわけだ。

そう考えていくと人にできてAIにできないことなどやがてなくなっていくような気がする。仕事の全てがコンピュータやロボット、AIに置き換わっていったとしても不思議ではない。

しかしAIが生産したモノは最終的に誰が買うのだろう。仕事がなくなり給料がもらえなくなってお金がなく誰も買えないとしたらものを作る意味がなくなる。設備を整えた資本家の元にもお金が入ってこなくなる。何をやっても儲からない社会で資本家の存在する意味もなくなる。

つまりこれからの世界には現在の資本主義と全く異なる経済システムが共存せざるを得なくなるのではないかと思っている。それはかつての共産主義のような形かもしれないし全く違った新しい仕組みかもしれない。いずれにしてもこの先、数十年の間に社会経済や人の生活にも大きな変化が起きるのは間違いない。

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