医は仁術

「こちらにお座りいただいてよろしかったでしょうか?」

つまりはどうして欲しいのか。嫌だと言えば諦めてくれるのか。質問しているのだかお願いしているのだか命令しているのだか依頼しているのだかわからない言葉が日本中で猛威を奮っている。いわゆる”有識者”は何かあると「言葉の乱れ」だと言いたがる。あぁそうかもしれない。でもボクは言葉の乱れには寛容な方だ(と思っている)。状況次第だが”ら抜き言葉”だって意味が通じるなら別に構わないと思う。というより今はそのほうが一般的だ。でも言葉は意味が通じなければその役には立たない。

病院に行って診察の順番を待っている。自分の名前が呼ばれて診察室に入ると先生が「そこに座って(ください)」と着席を促す。

「どうしました?」
・・・
「そうですか」
「シャツを脱いで胸を見せてください」
・・・

先生はお客(いやこの場合は患者だが)にへつらうことなく的確な指示を出す。そこには無駄な言い回しや意味のわからない指示はない。誤解されるような言い方をすることもない。
だが最近の若いドクターは時々おかしくなることがある。先日、問診のあとで横の診察台を指さして「そこに横になっていただいてもいいでしょうか」と言われた。腰回りが痛くて病院に行ったので「横になることはできますか?」なら分かる。患者が「痛くて無理です」と言うかも知れない。でも患者に対して「(横になるのは)嫌です」と答える選択肢を残すのは医者としてどうなのかな、とちょっと思った。

最近は患者もお客様待遇になったのかなと思ったお昼前のひとときである。

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