キノコは未来を切り開いている?!

「バイオエアロゾル」という言葉を聞いたことがあるだろうか?
ボクは先日はじめて聞いたのだが、空気中に漂っている生物由来の有機物の微細な粒子のことらしい。最近よく耳にするいわゆるPM2.5と言われる粒子は2.5μm(2.5ミリの千分の1)以下の粒子の総称なのでバイオエアロゾルもその一種と言えるだろう。そのバイオエアロゾルが最近ちょっと話題になっているらしい。

空の雲は水と氷が集まったものだ。太陽の熱によって海表面や地表面から蒸発した水蒸気が上空の冷気で冷やされて水になり氷になった細かい粒子の集まりである。細かな水や氷の粒子が集まって段々と大きくなると雨や雪、ヒョウとなってまた地球の表面に降ってくる。小学校の頃、理科の授業で習った地球上の水の循環の大まかなサイクルである。

一方、上空で水蒸気が冷やされて水や氷になるには核となる小さな粒子が必要だ。普通は大気中に漂っている塵やいわゆるPM2.5のような細かい粒子が核になる。中国では随分前からロケットで空気中にわざと核となる粒子を撒いて人工的に雨を降らせることも実際にやっている。バイオエアロゾルも雲を作る核の一つとして注目されているというのだ。

さて、キノコは胞子を空気中に放出して着底し菌糸を伸ばして繁殖する。雨上がりの朝には湿った地面からいきなりキノコがニョキニョキと生えている光景を目にすることがある。キノコは成長が早い。植物の芽が一晩で10センチも伸びることはあまりないがキノコでは普通に見られる。それがかなり毒々しい色だったりするので余計に目立つのだ。しかし地面が乾燥してくるとあっという間に干からびて姿を消してしまう。その短い間にキノコは外部に胞子を放出するわけだ。

ご存知のようにキノコは雨上がりのジメジメした環境などに育つ。苔やシダなどと同じように陽の光が燦々と降り注ぐところにはあまり生えず、ちょっとした日陰のジメジメした環境を好む傾向がある。実はシダや苔も胞子で増える生き物である。もちろん胞子は植物の種と同じように乾燥した環境でも生き延びることができるが、子孫を増やそうと思えばやはりジメジメした環境が必要になるわけだ。

最近の研究で上空1万メートルの大気中からバイオエアロゾルの一つであるキノコ類の胞子が見つかっているのだという。これは飛行機で上空を飛んで目の細かい網ですくい取るのだが、様々な粒子とともに生物が出した有機物の粒子も上空高く舞い上がっているらしい。つまりこの粒子も雨を降らせる要因の一つになっている可能性があるわけだ。

もちろん大気中にただ粒子があるだけでは雨や雪を降らせる原因にはならず、それらを核にして比較的高い温度で水の結晶つまり氷にならないといけないらしい。いくつかの(といっても数百種類の)粒子を実験室の持ち帰って氷ができるかどうかを観察したらいくつかの種類では確かに適当な条件で氷ができることが確認された。つまりキノコの胞子が核になって雲を作り雨を降らせることができるわけだ。

それは驚くべきファンタジーである。キノコの胞子は地上で自分の子孫を増やすためだけにあるのではなく、その胞子が雲を作り雨を降らせて自分たちが育ち繁殖しやすい環境を作っているのだとしたらもはやファンタジーを超えて驚異的なことだ。

キノコが雨を降らせている?!
キノコは自ら自分の未来を切り開いているのかもしれない。

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