頑固なやつは社長になれ

「私のやりたかったことはこんなことじゃない」
そう言って入社したばかりの会社を数ヶ月で辞めていく新入社員が多いのだという。マスコミの報道なので実際のところがどうなのかはわからない。しかしボクがサラリーマンをやっていた頃にも、数ヶ月とはいわないが1~2年で辞めていく新入社員は珍しくなかった。

「私のやりたかったことは…」という話を聞くと、やりたかったことがあるんならその夢を追求してみるのもいいよねと思うのだが実際にはその後、その夢の実現に向けて再チャレンジする人はほとんどおらず単にラクで給料の良い会社に行きたかっただけなんだな、と思うことが多かった。いや、それをどうこう言っているわけではない。ラクで給料のいい会社があってそこが自分を求めているなら転職にはいいチャンスだ。

ところが中には「人間関係が上手くいかない」から辞めていく人も少なからずいた。ランチの時間に軽く話を聞いてみると「意味のない(と自分が思う)指示や命令ばかりで上司が信頼できない」というグチを聞くこともあった。聞けば組織やプロジェクトが成功することではなく”大過なく仕事が終わる”ことだけを考えているとしか考えられないのだという。しかしそれは多くのサラリーマンたちが辿ってきた道であり、とりわけその特定の上司に限ったことではないと思う。

先日テレビ番組でブランドプロデューサーという職業の女性の特集をやっていた。それは新たに商品やブランドを立ち上げるに際して、クライアントが考える理想や方向性を具体的な形にして作り上げていくという仕事だった。ちょっと外から眺めるといかにもクリエイティブで活気のある職場に見える。しかしボクが言いたいことはそこではない。

その女性は社員が十数人の事務所を立ち上げて仕事をしている。新しく「そこで仕事をしたい!」という面接希望者も多いのだという。「面接で一番重視していることはなんですか?」という番組スタッフの質問に、ひとつの面接を終えた彼女が言った。「素直であること、ですね」。

傍目から見れば彼女はワンマンだ。まずは自分の考えを通す。それは多くの小規模な会社の社長に見られる。逆に言えば彼女はそのために会社を起こしたのではないかと思う。組織の中にいてそのヒエラルキーの中で仕事をすればそこには組織の理論が働き、自分の考えることがすべて実現できるわけではない。だからこそリスクの高い尖った動きが控えられて”大過なく”ことを進めることができるともいえる。

しかしあくまで自分の考えや方向性を貫こうとすれば安易な妥協策を選ぶことを許せないことがある。

「リスクが高すぎます」
「誰もやっていません」
「できるわけがありません」

大会社の会議室で飛び交っているセリフだ。

「だからウチがやるんだ!」

というのは大抵が小さな尖ったワンマン企業だ。かつてのソフトバンクや楽天がそうだったように「他所がやらないからこそウチがやる」という気概を持った社長にとって大切なのは、後ろ向きで否定するだけの部下ではない。素直で自分についてくるエネルギッシュな部下だ。頑固でワンマンな社長には素直に前を向いて歩んでいける積極的な部下が必要なのだ。

頑固者で他人の意見に耳を貸さない人は誰かに使われても上手くいかない。他人と自分は必ずどこかで考えが異なっている。意見を譲り合えなければお互いにストレスが溜まる。

すべてを自分のやりたいようにやりたければ社長になればいい。簡単なことだ。ヒエラルキーの頂上に立てば自分の思う通りのことができる。そのためには頑固で思い込みの強い自分の言うことを聞いてついてきてくれる素直な部下が必要なのだ。

もちろん必ずうまくいくわけではないし失敗することのほうが多いだろう。だが本当に自己実現をしたいと思うならやってみるしかない。
もちろんそのリスクや責任は全て自分の肩にのしかかってくるのだが。

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