『美味しすぎる青汁』

テレビCMや街中の広告、週刊誌などを見ているとへんてこりんな表現に出会うことがよくある。曰く「美人すぎる市会議員」「いま一番買うべきスマホ」。なぜ美人すぎるのか、なぜ買うべきなのかがさっぱり分からない。いずれにしてもこんな表現は世間に溢れている。

先日読んだ本に面白いことが書かれていた。ある哲学者が語ったことだが、普段私たちが使う言葉を”主張的な言葉”と”表現的な言葉”とに大きく分けてみる。「主張的」な言葉とは

「あのお店のランチは1,000円だ」とか
「2掛ける2は4だ」

といったお店で確認したり検分して真偽を確かめられる言葉だ。
一方の「表現的」な言葉とは

「おいっ!」とか
「好きです!」

といったように呼びかけられる相手に何らかの影響を及ぼしてリアクションを引き起こす言葉である。

ところがある言葉は一見主張的な言葉であるのに実質的には表現的であるケースがあるというのである。著書が古いために表現が不適切かもしれないが、例えば太平洋戦争中に盛んに唱えられたという

「米英は鬼畜だ」とか
「一億総火の玉」

といった表現である。テレビが普及してきて多くの人が「テレビ中毒」と言われた時代にはある評論家が「一億総白痴化」と言ったりしていた。これらを称して「ニセ主張的命題」という。意味内容がはっきりしないまま使われ確かなこともわからない。そしてその多くはスローガンや見出し、主張的な言葉と混同して使われるのだ。

現代の街に溢れる

「美しすぎる~」
「今年絶対に見ておくべき~」
「得するしかない~」
「~を選ばない理由がない」

などの言葉が言葉のお守り的に使用(意味がわからないまま、さも確実であるかのように思わせる)されて主張的な言葉とすり替えられている。見たもの聞いたものを無批判に信じて取り入れるのではなく、一旦自分の心のまな板の上に置いてみて冷静になってもう一度自分に問い直してみるということが大切だということは、今に始まったことではない。

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