あなたは「避難準備」と聞いて避難しますか?

■ 46億円の歴史って
先日、NHKの「ブラタモリ」という番組を観ていた時のことです。「ブラタモリ」というのはタレントのタモリさんとNHKの近江さんという女性アナウンサーが日本各地で街歩きをしながら、普通の人があまり気にしないような土地の特徴(主に地形の成り立ちやちょっとした歴史など)を掘り下げて紹介していく番組なんですが、その回では青森県・秋田県境の十和田湖の地形を紹介していました。
とりすも初めて知ったのですが、十和田湖は日本で唯一の二重カルデラ(カルデラの中にもう一つカルデラがある)に出来た湖なんだそうです。そしてその2つ目のカルデラになる火山噴火が起こったのは今から1,000年ほど前、平安時代の話だそうです。そこでタモリさんが1,000年前のことを「つい最近のことですね」と話すのを聞いて近江アナが「えっ?最近?ですか?」と聞き返していました。

タモリさんは、千年前と言えば随分前の事ですが、地球誕生46億年の歴史からしたら”つい最近”だと仰ったわけです。「現実味がないですねぇ」という近江さんに対してタモリさんはこう説明していました。「地球が出来て46億年と言われています。これを46億円だと思ってください。今、近江さんが46億円持っているとしましょう。その時に1,000円ってどうですか? 別にあげちゃっても惜しくないくらいの金額に思えませんか?(笑) 自分は46億円持ってるわけですから…」
つまり46億年に比べれば1,000年という時間がどれほど短いのかをお金に例えて直感的にわかるように説明したんです。とても分かりやすい例えだと思って非常に感心しました。

■ 「避難準備情報」って何?
ところで最近は全国各地で大地震や豪雨災害などが頻発して「今までに経験したことのないような豪雨」や「50年に1度の猛烈な雨」「1,000年に一度の大地震」なんていう表現がテレビでもしょっちゅう聞かれます。恐らくは、最近の日本の気候は急激に変わってきているので過去の自分の経験則だけで状況を判断して避難することを”躊躇したりしないよう”にという配慮だと思いますが、その一方で各自治体や気象庁は住民の避難についての情報表現については無頓着のような気がします。例えば、どこかの地域で災害が起こりそうになっているとき市町村は避難情報を出しますよね。その重大度は小さい方から

 1.避難準備情報
 2.避難勧告
 3.避難指示

です。では「避難準備情報」と聞いてあなただったらどうしようと思いますか? 普通に聞けば”避難準備”なのだから「避難をするために(心や物品の)準備をしておきなさい」ということだと思いませんか? でも実際に伝えたいことは「お年寄りや子供など、避難に時間のかかる人は避難を開始してください」なんだそうです。避難に向けての準備をすることと実際に避難することは違いますよね。そういう意味合いを伝えたいのであれば「早期避難情報」などとした方が良いように思いますが、やるべきことと表現していることの間には随分と大きな乖離があるように感じます。

■ 「勧告」と「指示」ではどちらが強力ですか
さらに言えば「避難勧告」と「避難指示」はどちらが切迫した感じがしますか? これは僕だけの個人的な感覚かもしれませんが「指示」という言葉は切迫感が弱い感じがするんです。なぜなら「指示」という単語は日常の中でよく見聞きするからなんです。
会社などに勤めている方などは普段の業務の中でも上司などからしょっちゅう”指示”を受けます。もちろんそれはやらなければいけないことなんですが、一方で「勧告」はどうでしょう。”勧告”されるのは裁判所だったり警察署だったり保健所だったりすることが多いので「ちょっとヤバイ」って感じがしませんか?(笑) 更に「命令」となると”やらなければ痛い目にあう”感がアリアリですよね。会社で業務”命令”に背けばおそらくはクビになります(笑) でも日本の各自治体の発表する災害警戒情報の中には「避難命令」ってないんですよね。

■ 表現の仕方ってとっても大切です
このように表現の仕方一つとっても受け取る側の反応は大きく変わります。お店や会社、商品の広告、営業活動にしても、大したことのない内容に「まさにマジック!」だの「奇跡的な」などという大げさな表現を使えばメッセージを受け取った人からすれば「胡散臭いな」「またオオカミ少年だな」と感じてしまうこともあるでしょう。(※「オオカミ少年」が分からない方はネットで調べてみてください)
逆にお客様にとって大きなイノベーションを感じることでもメッセージを発信する側にとっては”常識的”だったりするとつい省略して伝えてしまったりすることもしょっちゅう見かけます。とりすはおせっかいにも「この事実をもっと強く押し出せばいいのに」などと思ってしまいます。

あなたのビジネスの中にもそんなことがきっとあるはずです。それを見つけ出してください。簡単です。あなたのビジネスに詳しくない人とお互いの苦労話や普段から頑張っていることを話してみるのです。たぶんあなたがアタリマエだと思ってやっていることに「えーっ!そんなことまでやってるの!」と驚かれることが一つや二つはあるはずですから。