再発防止策

今年も毎日毎日、多くの事件事故が起こっている。政府の公文書改ざん事件は日本中を騒がせたが、高速道路での逆走事件、アメフト部の不適切指示事件、新幹線の台車破損事故、多くのメーカーで起きているデータ改ざん事件、裏口入学事件、昨年の話になるが横浜の病院で起きた看護師による患者殺人事件、相模原市で起きた養護施設での大量殺人事件などなど枚挙にいとまがない。
何かの不正や事故が起きると関係者によってそれが再び起こらないように再発防止策が作られる。

公務員や大企業の対策はだいたい見えている。ダブルチェックだ。1人がやったことをもう1人がチェックする。それでもダメならチェックする人をもう1人増やす、だ。以前の勤務先では常にこの対策が取られていたが再発しなくなったことは一度もない。チェックする人数が増えるだけで同じ確率で再発する。つまり再発防止策にはなっていない。

それはそうだ。チェックする複数人が同時に見落とせばまた起きるし、共謀すれば故意にやることだってできる。それは10人の上司がチェックしたとて同じことだ。大勢がチェックすれば一人あたりの責任感は人数割りされるかゼロになる。他の人がチェックしたのだからとやらない人まで出てくる。そしてチェックしたことをリストに記録することが目的になる。「だって3回もチェックしたんです。記録だってあります!」と平然と言ってのけるのだ。再発させないことが目的なのにチェックすることが目的になってしまう。だから監査室のボクは言った。「でも実際には起こってますよね」と。

間違いを起こさないようにするには機械的・物理的に不可能な方法を考えることが大切だ。かつて病院では点滴や薬剤の誤投与が頻発していた。栄養剤を投与すべきところに血圧降下剤を投与してしまったというようなことが起きた。血圧が正常な人に降下剤を投与すれば血圧が下がりすぎて死亡することもある。それを2人の看護師が揃って確認ミスをして投与し患者が死亡する事故が起きた。単なるミスで人が死んだのだ。

その後、医療品メーカーは降圧剤などの危険がある薬剤のパッケージのチューブとの接続部分(コネクター)を普通のものとは違うものに変更した。間違えて接続しようとした時に物理的に繋げることができなければ間違いに気付きやすくなるからだ。
それでも繋げられないものを無理やり繋いで投与してしまい患者が死亡する事故が起きた。もう処置なしだと思うところだが実際にこういう人も現場にはいる。そんな人でさえミスを犯さないようにしなければならない。

かつてコンピュータシステムの設計をしていた頃に言われていた言葉がある。

「どんなバカが操作してもミスが起きないように作れ」

人は誰でも時として考えられないようなことをする。それをカバーするのがシステムでありエンジニアの仕事なんだと。簡単なところでは生年月日を入力するところでは年月日のデータ以外は受け付けないようにするとか年、月、日を選ばせるようにして変なデータが入力できないようにするなどだ。このような入力規則などはコンピュータの1画面だけでも数百カ所になるのが普通だ。それでもまたそれをかいくぐって事故や事件は起きる。それでもそれを基本としてやらなければ改善はできない。しかし悪意のハッカーなどはそれでもセキュリティホールを突いてコンピュータを乗っ取ろうとする。

銃社会のアメリカではしょっ中、学校で乱射事件が起きている。これを受けてトランプ大統領は「教師にも銃を持たせればいい」と言ったというが、あの人はこの対応に限らず問題の本質が全く分かっていないアンポンタンだ。教師が生徒に向けて銃を乱射しない保障はどこにもない。改善ではなく改悪だ。あの人は所詮その程度の頭しか持っていない。
まぁ他所の国のことだ。そんな大統領を選んだのもアメリカ国民なのだから仕方がない。

そして再発防止策とセットで考えなくてはならないのが不幸にしてまた起きてしまった時の対策だ。大抵のことは形を変えて再発する。しかし一度起こったことへの対処は一度だけ経験している。だからその時の対処を振り返ってもっと被害を小さくするための対策を練っておかなければいけない。何度も同じ間違いを繰り返すのは本当のアンポンタンだ。