ブランドって何ですか?(2)

先週に引き続きブランドのお話です。先週は「ブランドとは何ぞや?」というお話でしたが、今回は「じゃあどうやってブランドを作ればいいの?」という視点で話を進めていきます。
ブランドというと大手ファッションブランドなどが思い浮かぶと思いますが、あなたのお店で扱っているサービスや商品、あなたの会社で作っている製品なども立派な一つのブランドです。そして人には人格があるようにブランドにも人格を宿らせることが大切です。

■ ブランディングの目的
ブランドの構築には「自分のブランドの性格を明らかにして見込み客との信念的な融合を感じさせた上で見込み客に「このブランドは自分の味方」だと感じてもらって、選択肢の上位または唯一の選択肢になることでした。つまり見込み客に”共感”を感じてもらうことが重要です。そのためにはブランドと見込み客の間に、お互いがシンパシーを感じる何かがなければいけません。それを作り上げるための6つのステップをご紹介しましょう。

■ ブランディングを組み立てる6つのステップ
STEP1:バックストーリーを集める(Collect the Backstory)
マーケティングでいうところのいわゆる状況分析です。「何のためにこのブランドが存在するのか」「このブランドは何を与えて(解決して)くれるのか」「なぜその問題を解決しなければならないのか」といった見込み客に動機づけを行う物語を描く段階です。何のためにこのブランドが存在するのかをストーリーで明確に説明するための事柄を集めていく作業です。これがすべての原点になります。ブランド誕生の物語の始まりです。

STEP2:ブランドを性格づける(Characterize the Brand)
第2段階ではブランド自身の性格や信念を具体的に明らかにします。「えっ?今までは誰にメッセージを送るかが重要だって言ってたよね?」と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。「それならまず最初にお客様を想定しなきゃいけないんじゃないの?」と思われた方はこのメルマガを毎回熱心に読んでいただいている方だと思います。確かに”お客様に何かを売る段階”ではピンポイントにお客様を絞り込んでメッセージを伝えなければいけませんが
ブランドを生み出すときには「どんな性格を持ったブランドなのか」を最初に決めておかないと、お客様によって信念がブレてしまうといったことになってしまいます。ちょっと抽象的でわかりにくい説明になってしまいましたので、具体的なブランドの性格といったものをいくつか挙げてみましょう。

1.ピュアリスト型
純粋で高潔、高度に倫理的で健全かつ模範的。善い人間であること、善い振る舞いをすることを大切にする
・指針とする言葉
「すべてのものを思いやりの眼差しで見る」、「善い人が最後は勝利を収める」、「誰にも見られていなくても正しいことをする」
・重視する価値観
調和、平和、楽観主義、シンプルであること、清廉、無邪気、正直、幸福、誠実
・軽蔑すること
ごまかし、不和、状況を複雑化させること、戦争、受け入れがたい振る舞い
・反対の性質
有害、偏見、悪
・ブランドの価値観
飾り気のないこと。純粋、健康、簡素で心地よい暮らし
・ブランドの例
ディズニー、セサミストリートなど
・人物
オードリー・ヘップバーン、ダイアナ妃、吉永小百合など

2.反逆児型
現状に満足せず、慣習を忌み嫌う。その振る舞いはある人々から見れば破壊的、衝撃的で常軌を逸している。だが別の人々には自己表現のためなら何でもする人間の代表と映る。
・指針とする言葉
「生まれながらに自由」、「規則は破られるためにある」、「人の歩かない道を歩け」
・重視する価値観(譲れないこと)
自由、常識の拒否、独立、個性、論争、反抗、大胆、奔放、果敢な抵抗
・軽蔑すること
無力感、個性の喪失
・反対の性質
グループシンク(集団で決めたことが大きな過ちにつながる現象)、
従属的、受動的態度、常識的、小心、臆病
・ブランド例
ハーレー・ダビットソン、レッドブル、コンバースなど
・ブランドの価値観
慣例に反抗し、危険を冒し、自身の個性に誇りを持つ
・人物
レディー・ガガ、ジェームス・ディーン、忌野清志郎など

3.魔法使い型
普通のことを素晴らしいことに変える経験を追求する。不思議なことやスリル、新奇なものが持つメッセージを表現する。自分の夢-テクノロジーのとどまるところを知らない発展であれ加齢と戦う魔法の薬であれ、世界が提供するあらゆるものへの黄金のパスポートであれーを実現することを追い求める。
・指針とする言葉
「不可能なことはない」、「夢は必ずかなう」、「驚異は止むことはない」
・重視する価値観
マジック、想像力、喜び、好奇心、楽観主義、面白さ、驚き
・軽蔑すること
平凡、失敗、現状維持、無効な営み
・反対の性質
退屈、変化のなさ、悲観主義、活気の欠如、後ろ向き
・ブランド例
ピクサー、バイアグラ、シルク・ドゥ・ソレイユ、ディズニー・ワールド、アップル
・ブランドの価値観
変化を起こし、驚異を創造する
・人物
スティーブン・スピルバーグ、ジョージ・ルーカス、ハリー・ポッター、
スティーブ・ジョブスなど

というような感じでしょうか? もちろんこれがすべてではありませんし、その性格も型にはまった定型のものではありません。自分のブランドの目指すところは魔法使い方にも反逆児型にも当てはまる要素があるなんてことは普通のことです。ちょっとイメージが湧いてきたでしょうか? つまりブランドの人格を決めていくわけです。

STEP3:見込み客を性格づける
そして自分のブランドが対象とする見込み客の性格を決めていく作業です。STEP2でブランドの人格を細かく決めましたから、それに共感するような見込み客も決めなければなりません。ブランドがトンガっていればいるほど共感を呼ぶ見込み客も絞られます。ここでは販売・営業・マーケティングの時に呼びかける対象の見込み客の性格を想定します。ブランドに共感できない見込み客にいくら呼び掛けたところで振り向いてはくれません。

STEP4:ブランドと見込み客を結びつける
ブランドの商品の持つ機能的長所や信念にどうやって興味をもってもらい、長期間にわたって好意を持ってもらうかを考えます。スマホでいうと「おサイフケータイ」や「防水機能」、「個性的な色やデザイン」、「信念を持ち続けた開発物語」などでしょうか?

STEP5:障害に立ち向かう
前の方でお話しした「このブランドは何を与えて(解決して)くれるのか」の部分で、ブランドが花開くのを妨害する障害(以前のiPhoneにはなかったおサイフケータイや防水機能など)に優先順位をつけて取り組む姿勢を方向づけます。「このブランドはいつかはやってくれるぞ」という期待感を持たせて、何となく買ってくれていた見込み客が熱心なファンになるレベルの目標を定めます。

STEP6:「ブランド設計書」を完成させる
ここまで来たらこれまでの各ステップに矛盾がないかを見直して設計図を完成させる作業です。ブランドの性格と長所となる機能は整合性が取れていなくてはなりません。ハーレーダビットソンのバイクがオートマチックミッションでクルーズコントロールが付いていてはいけないように、です。

こうして作り上げたブランドは人格を持った一人の人間のように歩き始めます。見込み客はそんなブランドを同士のように想い共感して強い関係性が構築されていくのです。最後に申し上げておきますが、あなたの人格とあなたの作り上げたブランドの性格は別モノです。最初はどうしても自分とそっくりな性格を持ったブランドになりがちですしそれは自然なことだと思います。ただそれは、必ずしも一致している必要はないですし自分を胡麻化しているわけでもありません。あなたはあなたですしブランドは別の人格をもった一つのキャラクターとして歩き始めるのですから。